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15/17 連帯債務の全額弁済と求償のメカニズム

【テロップ】
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【ノート】
相互保証理論によると,連帯債務の構造が明らかになることは,セツレイに基づいてすでに説明しました。 ■相互保証理論のすばらしいところは,連帯債務者の一人について生じた問題について,すべて,理論的に説明できる点にあります。 ■連帯債務者の一人に生じた事由というのは,第1に,連帯債務者の一人が連帯債務の全額を弁済した場合のように,連帯債務の総額を減少させるだけでなく求償が生じる場合と,連帯債務者の一人の負担部分が取り消し・無効等によって消滅した場合のように,連帯債務の総額を減少させるだけで,求償関係は生じない場合と,連帯の免除のように,連帯債務の総額に全く影響を与えない場合とがあります。 ここでは,まず,連帯債務者が利益を受けるため,求償が生じる,連帯債務者の一人が連帯債務の全額600万円を弁済した場合をとりあげることにします。 ■この場合に,連帯債務の別個独立性を強調する通説では,連帯債務の消滅も求償も,矛盾なく説明することができないことは,さきに述べたとおりです。 ■相互保証理論は,この問題を論理的に説明できるのですが,なぜ,そのようなことが可能になるかというと,相互保証理論では,債務者による弁済と,保証人による弁済とを厳しく区別するからなのです。 ■この点を明らかにするために,問題を二つの局面に分けて考えます。■ 第1に,負担部分の弁済によって何が生じるかを明らかにします。■ 負担部分とは,本来の債務のことですから,Y1▲ が600万円を弁済した場合,そのうちの300万円は,債務の弁済であり,その300万円の弁済によって,債務が消滅します。■ そうすると,本来の債務の消滅に伴うフジュウ性によって,他の連帯債務者の保証部分も消滅しまます。■これが,第一段階です。■ 具体的にいうと,Y1▲ の負担部分の消滅によって,Y1▲の負担部分を連帯保証していたY2 ▲の保証部分も,Y3▲の連帯保証部分も,本来の債務である負担部分の消滅に従い,それぞれの保証部分が消滅します。 ■第2に,保証部分の弁済によって,何が生じるかを明らかにします。 Y1▲ による保証部分の 300万円は,保証人として弁済ですので,債務は消滅せず,Y1▲ の他の連帯債務者▲Y2 ▲,Y3▲に対する求償権を確保するために,すべての債権,および,担保は,求償権の範囲内で,弁済をしたY1▲ に移転します。 ■その結果,第1に,Y1▲ が連帯債務の全額600万円のうち,負担部分300万円は消滅して,連帯債務の総額を300万円に減額します。 ■しかし,残りの300万円は,保証人としての弁済であるため,債務を消滅させるのではなく,Y1▲ の求償権を確保するために,債権者の債権,および,すべての権利が,求償権の範囲で,すなわち,Y2 ▲に対しては,200万円の範囲で,Y3▲に対しては,100万円の範囲でY1▲ に当然に移転します。