02SystemOfCivilLaw
10/38 債権と物権との区別

【テロップ】
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【ノート】
財産法に分類されている物権と債権という二つの権利の違いについて説明します。 ■物権と債権とはどのような違いがあるのでしょうか?■さらには,債権と担保物権とは,どこが似ており,どこが違うのでしょうか。■ 物権とは,ヒトが物を支配する権利であり,具体的には,モノを使用,収益,換価,処分のすべて,または,いずれかを行うことのできる権利です。 債権とは,ある人(債権者)が他の人(債務者)に対して,あることをすること(作為),または,あることをしないこと(不作為)を要求する権利です。  なお,作為または不作為を含めて,「給付」といいますので,債権とは,「ある人(債権者)が他の人(債務者)に対して,給付を要求する権利である」と簡潔に言い換えることができます。 債権は,ヒトと人とに関する権利ですが,人には財産として物が帰属しています。したがって,債務者が債務を任意に履行しないという場合,例えば,金銭債務を支払わない場合には,債権者は,債務者のすべての財産に対して強制執行をして,財産を処分し,売却代金から債権額を回収することができます。 このように考えると,債権も担保物権と同様に,債務者の財産を換価処分することができることになり,債権と担保物権との区別は微妙になります。すなわち,担保物権は,その他の物権とは異なり,債権に近い性質を有していることがわかります。 つまり,担保物権と債権との違いは,債権が他の債権者と平等の権利を有する,すなわち,弁済はすべての債権の債権額に基づいて按分比例されるのに対して,担保物権の場合には,他の債権者に先立って,優先弁済を受ける点が異なるということになります。