03ObjectOfObligation
15/20 民法現代語化(2004年)における目的と目的物の区別と修正(3/4)

【テロップ】
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【ノート】
民法402条と民法419条とについて,債権の「目的」と「目的物」との区別があいまいとなっていた点については,従来から指摘がなされていました。どのような指摘だったのでしょうか? ワガツマ教授は,その『債権総論』(1964年)20頁において, 「民法の用例は一貫しない。目的物を目的という場合も少なくない(民法402条2項,419条1項など)」という指摘をしていました。 ■そこで指摘された矛盾は,先に学習したように,まさしく,民法402条2項と419条2項です。 民法402条第2項■債権の目的たる特種の通貨が弁済期において,強制通用の効力を失いたるときは,債務者は,たの通貨をもって弁済をなすことを要す。 民法419条第1項■「金銭を目的とする債務の不履行については,その損害賠償の額は,法定利率によりてこれをさだむ。ただし,約定利率が法定利率にこゆるときは,約定利率に依る。」 2004年に民法が現代語化され,債権の「目的」と「目的物」との区別が明確となるように,修正がなされた後の教科書 例えば,中田・債権総論(2011年)23頁においては, ■従来の教科書とは異なり,以下のように,「目的」と「目的物」は,条文上も区別されていると記述されるようになっています。 目的と目的物は、条文上も区別されている。 ■(402条1項の本文と但書を比較せよ。2004年の民法典現代語化前は少し乱れがあった。) ■この教科書で,目的と目的物の違いを「比較せよ」とされている条文は以下の通りです。 民法402条第1項■債権の目的物が金銭であるときは,債務者は,その選択に従い,各種の通貨で弁済をすることができる。■ただし,特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは,この限りでない。 ■皆さんは,中田教授が指摘されている,民法402条1項における債権の「目的」と「目的物」との違いについて,前者が「目的物」とされ,後者が「目的」とされている理由を説明できるでしょうか? ■もしも,区別の理由が説明できないようでしたら,はじめに戻って復習をしてください。 ■反対に,この区別とその理由をきちんと述べることができるのであれば,今回の講義の目的は,ほぼ達成されたことになります。 ■これ以降の講義は,民法の学界のレベルを超えるほどに,ハイレベルです。 ■しかし,レポート課題を仕上げるには必要なレベルなので,ひるまずに挑戦してみてください。