04TarCase
17/35 漁網用タール事件(1/5)事件の概要→Q2

【テロップ】
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【ノート】
特定物債権と種類債権との区別が問題となった有名な事件として,漁網用タール事件を取り上げます。事実関係については,すでに,四つの表で見てきましたので, ■事件の概要を以下にまとめておきます。 ■なお,民事事件では,原告をX,▲被告をY,▲訴訟当事者以外の関係者(ソガイ)▲をA,B,C…で表示します。 昭和21年2月,原告であるX漁業協同組合(買主)は,ソガイA社の溜池に貯蔵されている被告Y(売主)所有の漁業用タール(3,000トン~3,500トン)のうち,2,000トンをYから見積価格49万5,000円で購入する契約を締結しました。 ■そして,物品の引き渡しについては,買主Xが売主Yに対して,必要の都度その引き渡しを申し出て,Yが引き渡し場所を指定し,Xがドラム缶を当該場所に持ち込んで,タールを受領し,1年間で2,000トン全部を引き取ることにし,手付金(内金ともいう)20万円をYに交付しました。 昭和21年8月,Yは,Xの求めに応じて10万7,500円分のタールの引き渡しを行いましたが,その後,Xは,タールの品質が悪いといって,しばらくの間,引き取りに来なくなってしまいました。 ■その間,Yはタールの引き渡し作業に必要な人夫を配置する等,引き渡しの準備をしていましたが,その後,これを引き上げ,監視人も置きませんでした。 ■そのため,同年12月,A社の労働組合員がこれを他に売却してしまい,タールは,すべて滅失してしまいました。■ Xは,Yのタールの引き渡し不履行を理由に残余部分につき契約を解除する意思表示をしました。 ■昭和24年11月15日,,Xは,Yに対して,手付金(20万円)から,引き渡しを受けたタールの代価(10万7,500円)を差し引いた,残金9万2,500円の返還を請求しました。 ■この事件での問題は,以下の通りです。 Xは,Yの債務不履行を理由に契約を解除して残代金の支払いを免れ,9万2,500円の返還を求めることができるか? ■反対に,Yは,残代金(29万5,000円)の支払いを求めうるか? という問題です。