04TarCase
26/35 契約の解除(旧理論)→(新),債権
【テロップ】
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【ノート】
民法の中で不法行為と並んで重要な問題は,契約を履行できない場合の解除(キャンセル)の問題です。 契約の相手方が約束を守らない場合に,どういう条件がそろえば,契約を解除できるのでしょうか? これまでの考え方では,契約がきちんと履行されない場合を3つに分類し,それぞれについて,契約を解除できる条件を別個に検討してきました。 第1は,契約の履行が遅れた場合です。この場合には,原則としては,履行が遅れたからといって,すぐに契約を解除することはできず,相当期間を定めて催告をし,それでも契約が履行されない場合に限って,契約を解除することができます。 ただし,契約の履行が遅れると,契約目的を達成できない場合,たとえば,ある期日までに帰国する人に送るために花束の配送を契約したというように,契約の履行期を過ぎると意味がなくなるほどに履行期が意味を持っているという例外的な場合(定期行為の場合)には,催告をしなくても,履行期に遅れた場合には直ちに解除をすることができます。 第2に,契約が履行できなくなった場合(履行不能の場合)には,債務者にキセキ事由(故意または過失)がある場合には,催告なしに契約を解除することができます。 債務者にキセキ事由がない場合には,契約の解除ではなく,民法534条以下の危険負担の規定が適用されますが,原則は,民法536条の規定に従って,契約を解除したのと同様の結果が生じます。 第3に,契約の履行がなされたが,その履行が不完全であった場合には,その不完全さが契約目的が達成できないほどに重大である場合に限って契約を解除することができ,それほど重大でないという場合には,損害賠償を請求することができるにとどまります(民法566条,570条を参照してください)。