04TarCase
34/35 売買目的物の危険の移転
【テロップ】
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【ノート】
2015年3月31日に国会に提出された民法の一部を改正する法律案においては,受領遅滞の条文の修正(413条),および,その新設条文(413条の2)の「みなし規定」,ならびに,危険負担の条文(536条)によって,受領遅滞後に目的物が滅失・損傷し,債務が履行不能となった場合には,債権者が全面的な責任を負うことになり,債権者は,契約の解除もできない(民法543条)という不都合が生じています。 ■この点について,その不都合の一部を解消するのが,(新)民法▲第567条2項の反対解釈です。 (新)民法▲第576条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)は,以下のように規定しています。 (新)民法▲第567条▲第1項■売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。)を引き渡した場合において,その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し,又は損傷したときは, 買主は,その滅失又は損傷を理由として,履行の追完の請求,代金の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において,買主は,代金の支払を拒むことができない。 (新)民法▲第567条▲第2項■売主が契約の内容に適合する目的物をもって,その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず, 買主がその履行を受けることを拒み,又は受けることができない場合において,その履行の提供があった時以後に,当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し,又は損傷したときも,前項と同様とする。 ■(新)民法▲第567条第2項の反対解釈をすると,以下のようになります。 (新)民法▲第567条第2項の反対解釈 ■売主が契約の内容に適合しない目的物をもって,その引渡しの債務の履行を提供したために,買主がその履行を受けることを拒み,又は受けることができない場合において,その履行の提供があった時以後に,当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し,又は損傷したときは,買主は,契約の解除をすることができる。 ■もちろん,この反対解釈の場合も,買主の権利行使は,(新)民法▲第566条の期間制限を受けますが,売主が,引渡しの時にその不適合を知り,又は重大な過失によって知らなかったときは,この限りではありません。