04TarCase
5/35 債務の種類と分類の基準

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
債権・債務の種類を検討するに際して,はじめに,債務の分類の基準を明らかにしておくことにしましょう。 債務の種類は,以下のような基準によって分類されています。 第1は,契約自由の補充と制限の必要性から生じる債務の分類です。 債務が明示されている場合,すなわち,明示の債務の場合には,分類は以下の方法でなされます。 しかし,当事者の意思が明確でない場合,すなわち,黙示の債務の場合には, 第1に,当事者間の合意の目的や性質によって, 第2に,慣習や実務慣行,すなわち,「事実たる慣習」によって, 第3に,民法の任意規定,または,信義則によって,債務が補充されます。 債務の内容が明らかな場合には,その債務の強制履行,すなわち,強制執行が簡単かどうかで債務が分類されています。 強制執行が比較的簡単な債務は, 与える債務であり, その典型例が金銭債務です。わが国の民事執行法の規定のほとんどすべてが,金銭債務の強制執行を対象としています。 強制執行が次に容易な債務は,引渡し債務であり,わが国の民事執行法に,若干の規定があります。 強制執行が困難な債務としては,なす債務となさない債務とがあります。 ■例えば,絵を描く債務とか,原稿を執筆するという債務は,強制執行にはなじまないため,フランス民法は,このような債務は,債務者によって任意に履行されないときは,当然に,損害賠償債務に転化すると規定しています。わが国では,そのような条文はありませんが,同じように解釈されています。 最後に,結果まで約束している債務か,それとも,結果までは約束はせず,最善の努力を尽くすことだけを約束している債務かの区別に従って,キセキ事由の立証責任が異なることになるのが,結果債務と手段の債務との区別です。 ■以上のような分類の基準を頭に入れた上で,それぞれの債務の種類について,学習することにしましょう。