04TarCase
7/35 種類物の特定と特定物→Q2

【テロップ】
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【ノート】
■民法401条の種類物の規定の続きです。種類物の特定に関する民法401条2項について検討します。 さきに見てきたように,民法401条2項(種類債権の特定)は,以下のように規定しています。 民法401条第2項■「前項の場合において,債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し,又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは,以後その物を債権の目的物とする。」 ■資本主義社会は,商品経済社会であり,私たちが手にしているモノは,その多くが種類物だったのであり,所有権が移転するに際して,それが,特定しているに過ぎません。 ■民法402条2項が,そのこと,すなわち,「種類物の特定」を明確に規定しています。 もっとも,理論上は,種類物が特定したのではなく,契約締結時を基準にして,初めから特定している,性質上の特定物も存在します。 例えば,不動産(土地,建物)は,物理的な移動が困難であり,性質上の特定物とされています。 ■確かに,これまで,不動産は固有の特定物であるとされてきました。 ■しかし,現代は,分譲住宅,建売住宅,マンションの一室の売買のように,不動産でも,似たような物件の中から,その一つが選ばれるということが多くなっている時代です。 ■通説は,不動産を固有の特定物と考えていますが,不動産の売買においても,選択の余地が広がっている現状においては,不動産を一律に固有の特定物と考えるべきではなくなっているように思われます。 ■現代では,むしろ,種類物が特定したと見るべき不動産が多くなっており,動産にせよ,不動産にせよ,固有の特定物というのは,例外的な存在となっているのではないかと,私は考えています。 動産の場合でも,骨董品・遺品は,一つしかないという希少性があり,性質上の特定物とされています。 ■しかし,その場合は,性質上の特定物というよりは,非代替物という方が適しているかもしれません。 ペットも,ペットショップで多くの中から選んだのではなく,運命的出会いをした場合には,性質上の特定物といえるかもしれません。しかし,ペットを家族と考えるヒトが増えてきている現状では,ペットがモノかどうかについては,争いがあるところであり,ここでは,問題の指摘にとどめておきます。