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10/25 日銀の貸借対照表http://www.boj.or.jp/about/account/zai1311a.htm/

【テロップ】
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【ノート】
日銀の発行する日銀券が日銀の債務であるとして,その額は,どの程度なのでしょうか? 日銀のホームページで,そのバランスシートを見てみましょう。 ■日銀が発行する銀行券は,最近は,年間で80~86兆円となっています。 ■表の数字は,平成24年度のものです。 ■日銀のバランスシートによって概略をつかむと,日銀は銀行券を発行し,シチュウ銀行の求めに応じてその日銀口座に資金を振り込んだり,銀行券を配布してその対価(シニョレッジ)を得たりして,資産(146兆円)を形成していることがわかります。 ■通貨の発行原価は,1万円で22円とされていますので,81兆円の通貨発行によって,日銀は,相当額の通貨発行益をえていることは確かです。 ■日銀のバランスシートでは,発行銀行券は,確かに,資産とは反対の右の負債欄に書かれています。しかし,右の欄は,負債だけでなく,資本と純益もその欄に書かれているのであり,日銀の発行銀行券がバランスシートの負債欄に書かれているからといって,「紙幣は,日銀の借用書である」と言う見解には,疑問があります。 ■なぜなら,金本位制が廃止されている現在,日銀は,銀行券を発行することによって,誰に対しても債務を負っていないのですから,「銀行券が日銀の借用書である」とのわが国の通説は,破綻しています。「日銀は,日銀券を発行することによって,誰に対して,どのような債務を負っているのか?」という問いには,誰も答えることができないからです。 ■しかも,日銀の資産は,誰かから得ているのではなく,自らが発行する銀行券を市中銀行や証券会社の日銀口座に送ることによってその対価として資産を得ているということです。 ■このことは,銀行券は,負債ではなく,通貨発行益をもたらすものであることを示していると,私は考えています。 ■現実に徐々に進行していることではありますが,もしも,わが国の国債が暴落し,国債の金利を上げざるを得なくなった場合には,ギリシャの例で明らかとなったように,国家財政は破綻し,30パーセント程度のインフレが発生するといわれています。 ■詳しくは,吉田シゲハル『マネーの正体』ビジネス社(2012年)を参照してください。 ■もしも,そのような事態が発生すれば,円は信用を失い,国民は自己防衛策として,ビットコインのような仮想通貨への乗換えを行なうことになるでしょう。 ■考えたくもない事態ですが,そのような事態が生じたときに,はじめて,銀行券は,日銀の債務ではなく,実は,通貨発行益(シニョレッジ)を生み出すものであったことが明らかになると思われます。