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16/25 債権の時代通貨も物(金属,紙)から情報(金銭債権)へ

【テロップ】
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【ノート】
現在は,物権に債権が優越する時代です。 ■通貨も金属や紙というモノから,代金債権,報酬債権を含めて,最終的には金銭債権という情報へと変化しています。 従来は,モノやサービスの価値は,有体物であるカネによって評価されてきました。 つまり,金本位制度が維持されていた時代においては,価値は,有体物である金貨によって評価されたのですから,モノの使用・収益・換価・処分に関する物権の全盛の時代でした。 しかし,現代は,物権も,ヒトとヒトとの関係(物権的請求権,優先弁済権など)に還元されるようになってきています。 ■なぜなら,物権と雖も,ヒトとヒトとの関係から生じるのであって,つまるところは,物権的請求権に還元できるからです。 したがって,現代は,物権(権利の帰属)を前提としつつも,ヒトとヒトとの関係である債権が中心を占める時代であるということができます。■ 時代は変わりました。現在は,情報化の時代です。 民法学において最も重要な地位をしめる債権とは,▲方向と▲量と▲時間との三つの要素で表現される情報(,すなわちベクトル)であると考えることができます。 ■ベクトルだからこそ,法律関係は,図式化が容易であり,かつ,重要なのです。 債権の中でも,現在のところ,最も信頼されている債権は,「預金債権」です。 ■その額は,家計が800兆円,企業が200兆円であり,その実体は,必ずしもモノという実体をともなわない,銀行口座への入金・出金記帳という情報に過ぎません。 情報であるから,モノの運搬・移動とは異なり,電子的に安くかつ即時に送信と受信をすることができるのです。 振込みとは,のちに述べるように,預金債権の経並行移動のことであり,債権総論2で学習するソウサイという技術を使うことによって,危険を伴う現金や有価証券の輸送を最小限に抑えることができるのです。