07NonPerformance
17/35 確率論に基づく因果関係ベイズの定理の応用 →Q5

【テロップ】
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【ノート】
事実的因果関係の「あれなければ,これなし」という判断基準は,「もしも原因と考えられる事象がなかったとすると,結果は生じただろうか?」という仮説を立て,もしも,原因と考えられているものを除去すれば,結果が生じないようだったら,それが,結果の原因と考えるという思考方法でした。 ■この思考方法の第1の問題点は,さきにのべたように,原因が複数の場合には破綻するというものでした。 ■この思考方法の第2の問題点は,科学的な実験にはなじまないという点です。 ■これに反して,科学的な実験の結果を取り入れて,確率的な因果関係を明らかにすることができるのが,ベイズの定理です。 例えば,結果を生じさせる原因としてC1と C2とが考えられるとします。■ 実験の結果,C1からは,0.6の確率で,結果Rが生じるとします。■ 同様にして,C2からは,0.1の確率で,結果Rが生じるとします。 ■ベイズの定理によれば,その結果を逆向きに計算して,結果Rが,C1から生じた確率,および,C2から生じた確率を計算することができます。 ベイズの定理の計算によれば,結果RがC1から生じた確率は,0.86であり, 結果RがC2から生じた確率は,0.14であることがわかります。 ■この結果をもとにして,二つの方法を選択することができます。 ■第1は,自由心証主義の前提のもとに,裁判官に対して,結果Rの原因は,C1であることを説得する方法です。 ■第2は,C1とC2とが,ともに,原因を作出したヒトである場合において,結果Rに対して,C1とC2とは,結果Rに対して,連帯責任を負い,その負担部分は,それぞれ,C1は,100分の86,C2は,100分の14であると主張することです。