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9/35 民法415条の改正案2015年3月31日,国会提出の法案

【テロップ】
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【ノート】
2015年3月31日に国会に提出された民法の一部を改正する法律案によると,民法415条は,以下のように修正されます。 民法415条(債務不履行による損害賠償)は,第1項で,債務不履行の定義,債務不履行の効果,免責事由を規定し,第2項で,填補賠償の要件について規定しています。 ■すなわち,以下の通りです。 民法415条▲第1項■債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,■ 債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。■ ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。■ 民法415条▲第2項■前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において,債権者は,つぎに掲げるときは,債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。■ 民法415条▲第2項▲第一号■債務の履行が不能であるとき。■ 民法415条▲第2項▲第二号■債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。■ 民法415条▲第2項▲第三号■債務が契約によって生じたものである場合において,その契約が解除され,又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。 ■債務不履行について,現行法は,「本旨に従った履行をしないこと」の一元主義を採用していたのですが,タダシガキで,履行不能についても触れていたので,改正案は,それを本文に合体するとともに,タダシガキで,履行不能だけでなく,一般的な免責事由の要件を再定義しています。 ■また,改正案の第2項は,従来の通説である債務不履行の三分類説に欠けていた,債務者の「履行拒絶」について補足して,その欠陥を補うとともに,債権総論ではカバーできなかった契約解除における債務不履行に触れることによって,債権総論と契約総論とを架橋しています。 ■しかし,改正案の415条は,債務不履行の一元説に,履行不能を追加したことで,債務不履行の定義をわかりにくくするという欠点を有しており,さきに述べた民法412条の2という不要な新設規定を伴う必要を生じさせる構造となっており,改正しない方がわかりやすく,立法としては,不出来であると,私は考えています。