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14/19 債権者の債務者に対する訴訟告知民法改正法案(2015)
【テロップ】
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【ノート】
民法改正の法律案によって新設される民法423条の6▲(被代位権利の行使に係る訴えを提起した場合の訴訟告知)は,以下のように規定しています。 民法423条の6■債権者は,被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは,遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならない。 ■この規定は,実体法としての民法の中に埋め込まれた訴訟法の規定です。 ■訴訟告知は,訴訟法上の制度であり,本来ならば,民事訴訟法第53条の訴訟告知の規定のあとに,民事訴訟法53条の2▲(債権者代位権の場合の訴訟告知)として,この条文を規定するのが本来のあり方でしょう。 ■しかし,民法に便宜上,訴訟法上の規定を置くことは問題はありませんし,民事執行法上の規定を置くことも,民事法として,一体的な処理に資する場合にはそのような措置は望ましいともいえます。■ 古い判例ですが,債権者代位権の行使に際して,債権者に善管注意義務の一環として,債務者に対する訴訟告知を義務付けたものがあります。 大審院昭和15年3月15日民事判例集19巻586頁は,「債権者代位権を認める判決の既判力は,債務者にも及ぶ」ことを明らかにした判決ですが,この判決は,訴訟告知の必要性についても,以下のように述べています。 債権者は,代位権行使については,訴訟による場合といえども,善良なる管理者の注意をはらうを当然とするをもって, もし訴訟追行上過失の存する場合(例へば債務者に訴訟告知をなさざりしため,債務者の手に存する訴訟資料を利用しえざりし場合のごとき)には,債務者に対し損害賠償の責めに任ずべく,判決の効力を債務者に及ぼすものなりとの解釈は,あえて,債務者に酷なりといふをえざるものとす。 ■実体法規範としての民法の中に,訴訟手続の規定を混入することが,一定の場合には,有用であるという例としてこの条文を見てきました。 ■この点からみると,さきに述べたように,民事執行法に不完全とはいえ規定があるからという理由で,民法414条3項の規定を削除するという試みは,この条文の立法趣旨,すなわち,民事訴訟法に訴訟告知の規定があるにもかかわらず,民法に訴訟告知の規定をおくという,この条文の立法趣旨に反すると,私は考えています。