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8/19 債権者代位権(2/2)→現行法,改正法案,Q7債権差押えとの比較(競合) →債権総論

【テロップ】
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【ノート】
民法423条に規定されている債権者代位権を理解するには, 債権差押えと比較するのがよいでしょう。■ なぜなら,債権者代位権は,債権差押えの制度が十分に発達していない時代におけるフランスで考案され,その後,保険法における直接訴権を通じて,債権差押えを凌駕する進化を遂げる制度だからであり, 債権差押えの制度との比較を通じて理解することが重要なのです。 ■債権者代位権の要件を債権差押えとの比較で理解することにします。 ■債権者代位権の場合,債権者(A)は,誰を相手に,何を請求するのでしょうか? ■まず,図を見ながら,自分で,答えを考えてみましょう。■ ■債権者代位権は,債権者(A)の債務者(B)に対するアルファ債権の保全を目的として,債務者(B)の債務者である第三債務者(C),すなわち,第三者(C)に対していきなりベータ債権の履行を請求するものなので,その理由が必要です。 従来は,その理由として,債務者(B)が無資力であることを要件としてきました。無資力である場合には,債権者Aが債務者(B)のベータ権利に対して干渉する正当な理由があると考えられてきたからです。 しかし,のちに詳しく説明する民法改正法案では,債権者(A)が第三債務者(C)のベータ権利に対して権利を行使する際には,債務者Bの無資力要件を不要としています。 その代わりに,債務者(B)に対して「訴訟告知」をすることを債権者(A)に義務づけ,債務者Aの第三債務者(C)に対する権利行使と,債権者Aの第三債務者(C)に対する権利行使が競合した場合には,債務者(B)の権利が優先することにして,債務者の不利益を除去しています。 債権者(A)が第三債務者(C)に対して,債務者(B)に代わってベータ権利を行使するのは,債権者(A)のアルファ債権の保全のためですから,債権者(A)の第三債務者(C)に対する権利行使の範囲は,アルファ債権の範囲内に限られます。■ すなわち,債権者(A)は,第三債務者(C)に対して,アルファ債権の範囲で,ベータ権利について,債権者に履行するように請求することができます。 ■以上をまとめると,債権者代位権の場合には,改正法案では,債務者Bに対する訴訟告知は必要とされるものの,いずれにせよ,債権者(A)は,債務者Bを訴えることなく,第三債務者(C)を相手どり,債務者の権利であるベータ権利について,第三債務者(C)に対して,直接,債権者Aに履行するように請求することができるのです。 ■これに対して,債権差押えの場合はどうでしょうか? ■債権差押えの場合には,誰に対して,何を求めるのでしょうか? ■まず,図を見ながら,自分で,答えを考えてみましょう。■ 債権差押えは,ガンマ債権の強制執行の一環として行われるのですから,債務者(B)が債務不履行に陥っている場合に限られます。この点は,債権者代位権と同様です。■ 債権者代位権と債権差押えとの最大の違いは,債権差押えの場合,債権者(D)の訴訟の相手方は,あくまで,債務者(B)であり,債務者の強制執行として,債務者の財産に属するベータ債権を差し押さえることになります。■ つまり,債権者代位権の場合には,債権者(D)は債務者に代わって,債務者(B)のベータ権利を行使するのですが,債権差押えの場合には,債権者Dは,自己のために,自己の権利の強制執行として,ベータ債権を差し押さえるのです。■ 債権差押えの場合,債権者(D)は,債務者Bに属するベータ債権の全体を差し押さえることができますが,差押えの後の配当によって得られるのは,ガンマ債権の範囲内に限定されます。■ ,つまり,債権者(D)の債権差押えの申立てによって,執行裁判所が第三債務者(C)に,債権差押命令を送達し,それによってベータ債権に関する強制執行の手続が開始され,その手続を通じて,債権者(D)は,ベータ債権の処分を通じて,そこから相応の配当を受けることになるのです。 ■最後に,皆さん,もう一度,図をみて,債権者代位権と債権差押えとの違いを,その相手方,目的となる権利に対する権利の種類,実行手続の違いについて,整理をしてみましょう。 ■うまく整理ができない場合は,ビデオの説明を聞き直し,債権者代位権と債権差押えとの相違点を二つ以上言えるようになるまで,繰り返し練習しましょう。