10ActionPaulienne
15/46 詐害行為取消権(3/3)→Q8取消しの意味に関する学説→債権総論
【テロップ】
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【ノート】
責任説は,ドイツの制度をわが国に持ち込もうとする説です。基本的には,この説が,わが国のサガイ行為取消権について,納得のいく理論的説明を行った最初のものです。 ■ドイツの学説なので,わが国にそのまま持ち込むことはできませんでしたが,改良を加えることによって,わが国に適した学説へと発展させることが可能であり,フランスの学説を承継したわが国の学説で,次に紹介する訴権説も,この責任説から大きな影響を受けています。 ■責任説は,サガイ行為について,法律行為を有効としたまま,その効果のうち,責任財産の移転の効果を否定して(責任的無効),債権者が債務者に対する債務名義と受益者または転得者に対する執行認容判決をえることによって,受益者,または,転得者の下で,逸失財産に対する強制執行を可能にする制度であると考えています。 ■この説のうち,執行認容判決という制度は,ドイツに特有の制度であるため,責任説は,わが国において広く賛同を得ることができませんでした。しかし,この制度に変わるものが,サガイ行為取消訴訟だと考えれば,それで済む話だったのです。しかし,この説は,残念ながら,債務者の債務名義と要求するというドイツの学説から脱することはできませんでした。 ■この説によれば,債権者が,第三者である受益者または転得者の名義となっている債務者からの逸失財産に対して強制執行をするためには,第1に,債務者に対する債務名義,第2に,受益者または転得者に対する執行認容判決を得る必要があります。 ■この説に修正を施し,債務者に対しては,訴訟告知で足り,受益者または転得者に対してのみ,サガイ行為取消訴訟を行うことによって,受益者または転得者の名義となっている債務者からの逸失財産に対して強制執行が可能となるというように改めると,次の訴権説または対抗不能説と同じになります。