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23/46 詐害行為の「取消し」の意味

【テロップ】
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【ノート】
サガイ行為取消権の性質は,確かに,破産法上の否認権に類似しています。 しかし,破産法上の否認と債務者を破産させないでサガイ行為を取り消す制度との間には,異なる点が生じます。 ■そこで,民法に固有の否認という概念を明らかにする必要があります。 民法では,否認という用語は,1箇所だけ,すなわち,民法37条5号だけで用いられています。 ■そこで用いられている「外国法人格の「否認」とサガイ行為の「否認」とは,どのような関係にあるのでしょうか? 民法37条5号の「「登記をするまでは,第三者は,その法人の成立を否認することができる」は,通説によって,同条2項の「登記前にあっては,その法人の設立をもって,第三者に対抗することができない」と同じ意味であると考えられています。■ そうすると,否認と対抗不能とはどのような関係にあるのか? ということも問題となります。■ このような問題を検討することを通じて,債権者によるサガイ行為の取消とは,債権者によるサガイ行為の否認であり,そのことは,債権者を害する,債務者と受益者との間のサガイ行為は,責任財産を逸失させるという効果だけが,第三者である債権者に対抗できなくなるのだということを理解することができるようになります。