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24/46 詐害行為取消権の「取消し」の意味破産法上の否認,民法上の否認

【テロップ】
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【ノート】
サガイ行為取消権の効果,すなわち,サガイ行為取消権における「取消し」の意味を明らかにするには,すでに述べたように,サガイ行為取消権の制度が,小破産といわれていることを利用して,破産法上の否認権の制度と比較することが重要です。■ 破産法第160条以下の否認権の制度は,以下のような制度です。すなわち,■ 総債権者を代表する破産管財ニンが,債権者を害する債務者の財産逸失行為を否認して, 破産管財ニンが管理する破産財団に逸失財産を復帰させる行為です。 ■しかし,債務者を破産させないで行われるサガイ行為取消権と,債務者を破産させ,総債権者を代表する破産管財ニンの管理のもとで行われる破産法上の否認権とは,その効果を同じにすることはできません。 ■なぜなら,総債権者の代表者としての破産管財ニンによって破産財団の維持と公平な配当が確保される破産手続を経ることなく行われるサガイ行為取消訴訟においては,一債権者に過ぎないサガイ行為取消権者に逸失財産の引渡しを認めることは,モラルハザードの危険を高めることになるからです。 ■つまり,サガイ行為取消権における取消しの効果には,破産法の否認権とは異なる効果を与える必要があるのです。 ■そうだとすると,破産法とは異なる民法上の否認とは何なのか? その根拠をどこに求めるべきなのか? が問題となります。 民法には,否認という用語は,1箇所だけ,すなわち,民法37条5号だけで用いられています。■ 民法37条5項は,「登記をするまでは,第三者は,その法人成立を否認することができる」と規定しています。 ■この「第三者が否認できる」という用語法は,民法424条のサガイ行為取消権における「取消し」とどのような関係にあるのかを検討します。 民法37条5項は,通説によると,同条2項の「登記前にあっては,第三者に対抗することができない」と同じ意味で用いられていると考えられています。 ■そうすると,「否認」と「対抗不能」とは,どのような関係にあるのかが,さらに問題となります。 ■そこで,「債権者によるサガイ行為の取消(否認)」と,「サガイ行為が債権者に対抗できない」ということとがどのように関連しているのかを検討する必要が生じます。 ■このことを検討することによって,民法全体を理解する上で,不可欠の「対抗することができない」という用語法を完全にマスターすることができるようになります。 ■すなわち,民法上の否認の意味が理解できるようになると,「登記をしなければ,第三者に対抗できない」という,あの有名でかつ難解な民法177条についても,「不完全物権変動」説とか,「公信力」説というような,矛盾だらけの学説とは異なり,対抗問題を「否認」の考え方によって矛盾なく説明できるようになるという大きな副産物を手に入れることができるようになります。 ■そこで,民法上の「否認」の意味を「対抗不能」との関係で,しっかりと理解することにしましょう。