10ActionPaulienne
26/46 否認と対抗不能との関係(1/3)民法37条(法人格の否認)の意味→Q8
【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。
【ノート】
民法上の否認と対抗不能との関係を図解することにします。 Xは,Yの行為を,否認することができるという命題があるとします。 ■この命題の書き換えは,以下のように,主語と目的語とを逆にする操作を行うことによって実現できます。 上の命題の目的語である「Yの行為」を主語にします。■ すなわち,下の文章の主語は,「Yの行為は」となります。■ 次に,上の文章の主語である「Xは」を下の文章の目的語にします。■ すなわち,下の文章の目的語は,「Xに」となります。■ 最後に,上の文章の述語である「否認することができる」は,「対抗することができない」と変換します。 すなわち,下の文章の述語は,「対抗することができない」となります。 ■最終的には,下の文章は,「Yの行為は,Xに,対抗することができない」となります。 ■この命題の意味は,「Xは,Yの行為を,否認することができる」と同じです。 ■この図を見て,英語の能動態を受動態に返還する事例を思い出す人がいたら,その人は,理解が早くなると思います。 ■なぜなら,英語の能動態を受動態に変える方法と同じなので,そのコツをつかむと,簡単に変換できるようになるからです。 ■Columbus discovered America. を受動態に変換すると, ■America was discovered by Columbus. となりましたよね。それと同じです。 ■それでは,応用問題です。 ■民法37条第5項は,否認という用語で書かれています。 ■この条文を「対抗できない」という用語を用いて変換してみましょう。 ■もちろん,意味は同じでなければなりません。 第三者(X)は,Yの外国法人の設立行為(A)を,否認することができる。 ■この問題の答えは,以下の通りです。 外国法人(Y)の成立行為は,第三者(X)に,対抗することができない。 ■どうですか? うまく,変換ができたでしょうか? 上の文章の目的語は,下の文章では,位置を上げて,主語に変わっています。■ 上の文章の主語は,下の文章では,位置を下げて,目的語に変わっています。■ 上の文章の述語は,下の文章では,位置は同じですが,用語が,対抗することができないに変わっています。 ■このようにして,ある命題を否認から対抗不能へ,反対に,対抗不能を否認へと変換ができるようになると, ■一種の受動態に該当するために,意味がつかみにくく,難解とされている対抗不能の意味について, ■「誰が何をすると,第三者の行為にどのような効果が否認されるのか」ということを明確に認識できるようになるため,その意味を理解しやすくなります。