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36/46 民法改正法案(6/14) ←目次詐害行為取消権の効果(立法の過誤)
【テロップ】
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【ノート】
民法(債権関係)改正▲法律案▲第424条の6(財産の返還又は価額の償還の請求)は,新設された第2目▲サガイ行為取消権の行使の方法等▲の最初の新設条文であり,破産法第167条(否認権行使の効果),第169条(相手方の債権の回復),第170条(転得者に対する否認権)に対応する規定です。■ 第424条の6(財産の返還又は価額の償還の請求)▲は,以下のように規定しています。■ 第424条の6▲第1項■債権者は,受益者に対するサガイ行為取消請求において,債務者がした行為の取消しとともに,その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。■ 受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは,債権者は,その価額の償還を請求することができる。 第424条の6▲第2項■②債権者は,転得者に対するサガイ行為取消請求において,債務者がした行為の取消しとともに,転得者がテントクした財産の返還を請求することができる。■ 転得者がその財産の返還をすることが困難であるときは,債権者は,その価額の償還を請求することができる。■ ■確かに,サガイ行為取消権の制度は,破産法上の否認権の制度と,要件の点では,非常に良く似ています。 ■しかし,現実の行使方法は,破産法上の否認権とは,大いに異なります。 ■破産法の場合には,支払不能に陥った債務者に代わって破産財団が形成され,破産管財ニンが総債権者のために,否認権を行使して,破産財団の維持と公平な配当を実現する仕組みが整っています。 ■したがって,サガイ行為を否認し,破産財団に逸失財産を返還することは大きな意義を有しています。 ■それに比較して,サガイ行為取消権の場合には,債務者に代わって配当を実行するのは,一債権者に過ぎません。 ■一債権者に逸失財産の返還を認めてしまうと,腐敗が生じることは目に見えています。 ■したがって,一債権者に過ぎないサガイ行為取消権者に財産を返還することなく,受益者,または,転得者に移転した債務者の逸失財産を,そのままの状態で,総債権者のために強制執行を行い,そこに参加したすべての債権者に配当を実施することにすることが,サガイ行為取消権の公平さを保つ唯一の方法なのです。 ■不幸にして,新設された民法424条の6は,サガイ行為取消権と破産法の否認権の制度との違いを考慮することなく,破産法167条以下の規定をそのまま取り入れ,一債権者に過ぎないサガイ行為取消権者に対して,逸失財産の返還,または,その価額の償還を認めています。 ■しかし,これでは,公平さは維持できず,サガイ行為取消権が,一債権者によって濫用され,腐敗の温床となることは目に見えています。 ■この意味で,改正法案第424条の6は,サガイ行為取消権の本質を理解しないままに起草された,残念な規定ということができるでしょう。