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15/22 債権者の義務違反による保証人の免責

【テロップ】
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【ノート】
民法が保証人の保護としてさらに用意しているのが,保証人の求償権の確保です。求償権については,すでに,連帯債務の箇所で詳しく説明しました。 ■保証における求償の規定は,そのほとんどが,連帯債務の規定を準用していますので,ここでは,代位の箇所に規定されていますが,実質的には保証人お保護のために規定されている,民法504条を取り上げて,民法が,保証人の求償権の確保を重視しているのかを概観することにします。■ 第504条(債権者による担保の喪失等)は,以下のように規定しています。■ 民法504条■第500条〔法定代位〕の規定により代位をすることができる者〔例えば,保証人〕がある場合において,債権者 が故意又は過失によってその担保を喪失し,又は減少させたときは, その代位をすることができる者は,その喪失又は減少によって償還を受けることができなく なった限度において,その責任を免れる。■ この規定は,わが国では,任意規定と解されており,債権者は,担保を滅失・損傷させたとしても,免責規定によって免責されると解されています。■ ■しかし,民法は,保証人の保護として,求償権の確保を重視し,それを害することになる債権者の行為を保証人に対して,シンギソク違反,または,不法行為として捕らえ,保証人を免責しているのですから,この規定は,公序に関する規定であり,保証人のためだけの「ヘン面的強行規定」と解するべきです。■ わが国の民法504条の立法の際に参考とされたフランス民法典第2314条は,以下のように規定して,この規定が「ヘン面的強行規定」であることを明らかにしています。■ フランス民法▲第2314条■債権者の行為によって保証人が債権者の権利,抵当権及びサキドリトッケンについて代位ができなくなるに至ったときは,保証人はその責任を免れる。■ これに反するすべての条項は書かれなかったものとみなす〔強行規定〕。 ■わが国も,同様に解すべきであり,債権者による保証人の求償権の確保を害する行為は,免責約款によっても,免責されないのであり,反対に,保証人の責任こそが,民法504条通りに,免責されるべきであると,私は考えています。