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19/22 根保証(4/4)民法(債権関係)改正の動向

【テロップ】
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【ノート】
2015年3月31日に国会に提出された民法(債権関係)改正法案によって,根保証の規定が改正され,かつ,経営保証に関する規定が新設されます。■ 民法465条の2以下の「貸金等根保証契約」は,タイトルが,「個人根保証契約」へ変更され,根保証契約の規制対象領域が拡大されます。■ 具体的にいうと,民法465条の2~465条の5は,極度額に関する規定の内容はほぼ同じですが,対象領域が「貸金等根保証契約」から,「個人保証契約」へと拡大されます。 ■改正法案▲第465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)は,以下のように規定されています。 ■第465条の2▲第1項■一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は,主たる債務の元本,主たる債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について,その全部に係る極度額を限度として,その履行をする責任を負う。 ■第465条の2▲第2項■個人根保証契約は,前項に規定する極度額を定めなければ,その効力を生じない。 ■第465条の2▲第3項■第446条第2項及び第3項の規定は,個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。■ 企業が融資を受ける際に個人が保証人となることによる弊害を防止するため,「事業に係る債務についての保証契約」の規定が新設されます。いわゆる経営保証に関する規定です。■ 新設される条文は,第465条の6~第465条の10までです。■ 新設される「事業に係る債務についての保証契約」は,公正証書によって契約を締結することが義務づけられます。■ この契約の趣旨は,企業が融資を受ける際に,経営者等の個人が過酷な保証責任を負担することを防止することにあり,個人保証の主体が制限されていますが,肝心の経営者個人(理事,取締役,執行役等)は,保護対象から外れており,実質のない中途半端な改正に終わっています。■ ただし,この契約の締結に際しては,委託を受けた保証人に対する債務者による具体的な情報提供義務が規定されることになるので,この点は,一歩前進です。 この情報提供義務については,根保証だけでなく,すべての保証契約において,保証人に対する債権者の情報提供義務が新設されることになりました。 ■これまで,保証契約は,無償の片務契約だとされてきましたが,債権者の情報提供義務が新設されることによって,保証契約は,民法504条の債権者の担保保存義務とあいまって,負担付贈与と同様に,無償の双務契約へと進展することになります。■ (新設される)第458条の2(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)は,債権者に情報提供義務を課しています。■ (新設される)第458条の3(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)も,同様にして,債権者に情報提供義務を課していますが,情報提供の時期が2ヶ月以内とされており,あまりに悠長である上に,情報の提供先が,個人の保証人に限定されている点で,いかにも中途半端です。