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4/22 10.保証責任

【テロップ】
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【ノート】
保証とは,債務なのでしょうか,それとも,債務者の代わりに第三者が債務を弁済する責任を負っているだけであって,本来の債務ではなく,「債務なき責任」なのでしょうか? ■通説は,「主たる債務と保証債務という別個・独立の債務が並存している。しかし,主たる債務が消滅すると,別個独立であったはずの保証債務が消滅する」と考えています。 ■しかし,「債務が消滅すると,別個・独立の保証債務もフジュウ性によって消滅する」というのは,矛盾しており,連帯債務の箇所で検討したように,破綻した理論に過ぎません。■ ■二つの債務が,実は,別個・独立ではなく,主従の関係にあるからフジュウ性が生じるというわけでもないのです。 債務は一つしかないのであり,債務が消滅すると,その債務を肩代わりして弁済する責任も消滅することから,フジュウ性が来ているのです。 ■債務者が弁済するのではなく,保証人が,債務者本人の債務を肩代わりして弁済すると,保証人の求償権を確保するために,債権は消滅せず,民法500条以下の規定によって,保証人が全額について債権者に代位します。■ ■保証人は,他人の債務について,無償で,しかも,債務額について無限責任を負わされています。 ■債務者や債権者が危険を分散したいのであれば,保険などの有償契約によって,危険の分散を図るのが,資本主義の原理です。■ 不合理な制度を持続させるのであれば,無償で過酷な責任を負わせられる保証人は保護されなければなりません。 ■むしろ,資本主義の原理に反するこのような制度は,公序良俗に反して,無効な契約とされるべきです。 ■それにもかかわらず,保証契約が無効とされないのは,なぜでしょうか? ■その理由は,民法の保証の規定が,初めから終わりまで,フジュウ性(民法448条,457条,458条)と,求償権の確保のための規定(例えば,民法459条~465条)に終始しており,この規定に反した場合には,保証人の責任を免責しているからです。(例えば,民法455条,504条を参照してください)。 ■したがって,保証人の責任を債務者の責任よりも重くしたり,フジュウ性を奪う保証契約は,当然に無効となりますし, ■保証人の求償権を害する債権者の行為があれば,保証人は免責されるのです。 ■保証人が保護されるのは,弱者保護というよりは,もともと無効な契約が,民法のフジュウ性と求償権を確保する規定によって,かろうじて無効を免れていると考えるべきなのです。