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5/22 保証とは何か?
【テロップ】
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【ノート】
保証の冒頭条文である民法446条は,以下のように規定しています。■ 民法446条▲第1項■保証人は,主たる債務者がその債務を履行しないときに,その履行をする責任を負う。■ 保証の場合も,冒頭条文である民法446条をじっくりと読み,その意味を厳格に理解することが必要です。 ■保証契約には,三人の登場人物と三つの契約が重要な地位を占めています。それを図示することにしましょう。■ 一人は,債権者です。ドイツ語ではグロイビガーといいます。教科書等で債権者が“G”と表記されるのは,グロイビガーの頭文字です。■ もう一人は,債務者です。ドイツ語では,シュルトナーといいます。教科書等で,債務者が”S”と表記されるのは,シュルトナーの頭文字です。■ 債権者と債務者との関係が債権・債務関係であり,債権者の立場から見れば,債権であり,債務者の立場から見れば,債務であり,保証を伴う場合には,主たる債務といわれます。■ 最後に登場するのが,保証人です。ドイツ語では,ビュルゲといわれます。教科書等で,保証人が,”B”と表記されるのは,ビュルゲの頭文字だからです。 ■ある教科書を読んでいて,”A”が登場しないのに,いきなり,保証人として”B”が登場して,学生たちがまごついたことがあります。保証人を表すのに,よく”B”が使われることを知っていれば,まごつくこともないでしょう。■ 保証契約が締結される前に,通常は,債務者と保証人との間で,保証委託契約が締結されます。 ■もちろん,保証委託契約なしに,保証人と債権者との間で保証契約を締結することもありえますが,その場合は,保証契約というよりは,保証人が債権者の債権を買い受けて,求償名義で債務者から債権を回収するというファクタリングの場合が多く,保証人を保護すべき純粋な保証とは異なる場合が多いので,注意が必要です。 ■現行法上も,保証委託契約に基づかない保証,つまり,委託を受けない保証の場合には,その保証人には,事前求償権が与えられませんし(民法460条),求償の範囲も制限される(民法462条)など,さまざまな制約が貸されています。 保証は,理論上は,保証契約は,債権者と保証人との間で締結されることになっています。 ■しかし,さきにも述べたように,通常は,保証契約より前に,保証委託契約が先に締結されるのであり,保証委託契約の内容は,保証契約と同じなので,債権者と保証人との間で締結される保証契約というのは,保証委託契約の追認にすぎないのが実情です。 ■実は,保証委託契約とは,第三者のためにする保証契約であり,債権者が受益の意思表示をしたときに,保証の効力が生じると考えています。通説が,保証契約と読んでいるのは,第三者のためにする保証契約についての,債権者の受益の意思表示に過ぎないと,私は考えています。■ いずれにせよ,保証契約が締結されると,一つの債務について,本来の債務を負担する債務者と,本来の債務を債務者に代わって履行する責任を負う保証人の二人が,債務を履行する責任を負うことになります。■ もっとも,保証の冒頭条文である民法446条▲第1項については,条文に即して,厳密な解釈をすることが必要です。■ 第1に,民法446条▲第1項の,「保証人は,主たる債務者がその債務を履行しないときに」という文章のうちの,「その債務」とは,主たる債務であることに注意する必要があります。■ 第2に,同様にして,「保証人は,…,その履行をする責任を負う」という文章のうち,「その履行をする」とは,「主たる債務の履行」のことです。■ 第3に,保証人が負担するのは,「その履行をする責任」,つまり,主たる債務を債務者に代わって履行する責任であって,本来の債務を負担するわけではありません。 ■一つだけ存在する主たる債務を債務者に代わって履行する責任を負うからこそ,保証人が主たる債務を弁済すると,債務者に求償する権利が与えられるのです。