第16-17回 養子

2004年6月1日,6月8日

名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂


講義のねらい


血縁関係がある実子については,法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた嫡出子と法律上の婚姻関係にない男女を父母として生まれた非嫡出子とがあることを学んだ。

ところが,原則として血縁関係のない当事者の縁組によって成立する養子の場合には,常に養親の嫡出子となる。自己の婚外子であっても,養子にすることができ,その場合,その子は,嫡出子の身分を取得できる。

養子 養親
(成年)
養子の年齢
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
養子の種類 特別養子 一方が25歳以上の夫婦に限る 特別養子(1〜0.5%)
(家裁の審判で)
6歳未満から監護
普通養子 未成年養子 夫婦の場合は,夫婦共同縁組 未成年養子(33% 年々減少傾向にある)
(原則として家庭裁判所の許可が必要(7.8%)
ただし,自己又は配偶者の直系卑属は許可不要:
配偶者の子(74.8%),自分の孫(16.7%))
代諾縁組
(法定代理人の承諾で)
本人縁組
(単独で)
成年養子 成年養子(67%)
跡継ぎ,扶養のため

このような効力を持つものとして設計された養子縁組制度は,子の福祉のためというよりも,婚外子を養子にする場合に典型的に見られるように,婚姻によらずに嫡出子を得る方便として利用されてきた。

上の図でも示されているように,わが国の養子制度は,跡継ぎや扶養を目的とした成年養子が最も多い。

また,未成年養子の場合でさえ,家族関係を安定させるための連れ子養子や,跡継ぎを狙って孫を養子にするなど,血縁のある子を養子に迎えるケースが多く,要保護児童のための養子は利用が非常に少ない。

1987年に,家庭裁判所の審判で成立し,実親子関係を消滅させて実親からの取り戻しを防ぐとともに,原則として離縁を認めず,養親子関係を安定させるという特別養子制度が設けられたが,利用率は低いまま,年々減少しているのが現状である。


演習


問1 民法792条から798条までを読んで,養子縁組の要件を整理しなさい。そして,未成年養子の場合の要件を簡潔に述べなさい。

問2 未成年養子の場合,原則として家庭裁判所の許可が必要である。例外として許可を必要としない場合を列挙しなさい。

問3 未成年養子の縁組届出のうち,裁判所によって許可されなかったものをあげなさい。→家族法判例百選〔第6版〕第34事件(新潟家審昭57・8・10家月35巻10号78頁)参照

問4 家族法判例百選〔第6版〕第33事件(最三判昭39・9・8民集18巻7号1423頁)を読んで,以下の問に答えなさい。

  1. この事件の事実関係を要約しなさい。
  2. 他人の子を嫡出子として届け出た者の代諾による養子縁組の効力は,無効か?
  3. 本人による追認は許されるか?
  4. 第三者(養親の実子)の権利を害する場合はどうか?

問5 家族法判例百選第31事件(最二判昭54・11・2判時955号56頁)を読んで,以下の問に答えなさい。
 A男がB女の子Cにつき自分の子でないことを知りつつ認知届けを出した後,A男がB女と婚姻したとする。形式上は,民法789条1項の「婚姻準正」が実現されているが,その認知届が無効であるため,法律上は,Cは,Aの嫡出子とはなれない。
 そこで,Aの認知届に,Bを代諾者とするA男とCとの間の養子縁組の意味を持たせ(隠れた継親子養子縁組),その上で,後に配偶者となる子を養子にするのであるから,家庭裁判所の許可は必要ないと構成することは可能であろうか?

問6 家族法判例百選第32事件(最三判昭50・4・8民集29巻4号401頁)を読んで,以下の問に答えなさい。

  1. 虚偽の嫡出子出生届を養子縁組届として,無効行為の転換を認めるべきかどうか? 認めるとするとどのような問題が生じるか。
  2. 無効行為の転換を認めないとどのような問題が生じるか。

問7 虚偽の認知届や虚偽の嫡出子出生届がなされ,かつ,事実上親子として生活してきた場合に,その子に相続権が認められないとしたら気の毒な話である。この点を解決するための解釈論にはどのようなものがあるか。

無効な身分行為の転換 判例百選番号 判決 判旨 結論 備考
1 虚偽の
嫡出子出生届
認知届 25 最二判昭53・2・24民集32巻1号110頁 嫡出でない子につき,父から,これを嫡出子とする出生届がされ,または嫡出でない子としての出生届がされた場合において,右各出生届が戸籍事務管掌者によって受理されたときは,その各届は,認知届としての効力を有する。 それぞれの出生届には,「子の出生を申告することのほかに,出生した子が自己の子であることを父として承認し,その旨申告する意思(認知)の表示が含まれている」というのが,無効な身分行為の転換を認める理由である。
2 父による
非嫡出子出生届
認知届
3 無権代諾
養子縁組届
追認 有効な
養子縁組届
33 最三判昭39・9・8民集18巻7号1423頁 養子縁組の追認のごとき身分行為については,民法116条但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。けだし事実関係を重視する身分関係の本質にかんがみ,取引の安全のための同条但書の規定をこれに類推適用することは,右本質に反すると考えられるからである。 民法119条を適用するか民法116条を適用するかでは,財産法の原則に従っている。
民法116条を適用する場合でも,但し書きの意味を,「遡及効が第三者に対抗できない」と解するだでけで問題は解決する。身分法の特殊性を持ち出す必要はないと思われる。
4 虚偽の
認知届
隠れた継親子
養子縁組
養子縁組届 31 最二判昭54・11・2判時955号56頁 認知の届出が事実に反するため無効である場合には,認知者が被認知者を自己の養子とすることを意図し,その後,被認知者の法定代理人と婚姻した事実があるとしても,右認知届をもつて養子縁組届とみなし,有効に養子縁組が成立したものと解することはできない。 ×?→○ 養子縁組と解しても,子は,配偶者の子(継親子養子縁組)であり,家庭裁判所の許可は必要ではない。
養子縁組届の範囲内の転換の問題であり,転換を認めるべきである。
5 虚偽の
嫡出子出生届
養子縁組届 32 最三判昭50・4・8民集29巻4号401頁 養子とする意図で他人の子を夫婦の嫡出子として出生届をしても,右出生届をもつて養子縁組届とみなし,有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。 ×? 養子縁組を認めると,家庭裁判所の許可を潜脱する恐れがある。
現状では,親子不存在確認の訴え等の請求を権利濫用として制限するほかない。

問8 実子の問題に立ち返って,嫡出推定制度と,養子制度との関係について,以下の文章(水野紀子「実親子関係と血縁主義に関する一考察−フランス法を中心に−」『星野英一古稀祝賀・日本民法学の形成と課題(下)』有斐閣(1996)1145頁,1152頁)を読んで考えてみよう。

夫にのみ否認権を与える嫡出推定制度は,家父長的な制度であると批判されてきたが,それは一面に過ぎず,同時に,夫に妻の産んだ子に対する責任放棄をあきらめさせる制度でもあった。
親子関係の成立を個人の意思を根拠に説明するのは,フランス法の伝統的な理論であった。嫡出子においては,婚姻そのものに前もって子を受け入れる意思が含まれていると解された。認知については,親子関係の証拠にとどまらず,親子関係を成立させるという意思を表す行為であると考えられた。

参照条文


第二節 養子

第一款 縁組の要件

第792条【養子をする能力】
成年に達した者は,養子をすることができる。

第793条【尊属養子・年長者養子の禁止】
尊属又は年長者は,これを養子とすることができない。

第794条【後見人と被後見人の縁組】
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後,まだ管理の計算が終わらない間も,同様である。 (昭二三法二六〇・平一一法一四九・一部改正)

第795条【配偶者のある者の縁組(1)−未成年者を養子とする場合】
配偶者のある者が未成年者を養子とするには,配偶者とともにしなければならない。ただし,配偶者の嫡出である子を養子とする場合{いわゆる連れ子養子}又は配偶者がその意思を表示することができない場合は,この限りでない{単独縁組となる}。 (昭六二法一〇一・全改)

第796条【配偶者のある者の縁組(2)−配偶者の同意】
配偶者のある者が縁組をするには,その配偶者の同意を得なければならない。ただし,配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は,この限りでない。 (昭六二法一〇一・全改)

第797条【15歳未満の養子−代諾養子】
養子となる者が15歳未満であるときは,その法定代理人が,これに代わつて,縁組の承諾をすることができる。
A 法定代理人が前項の承諾をするには,養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは,その同意を得なければならない。 (昭六二法一〇一・一部改正)

第798条【未成年の養子】
未成年者を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。但し,自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は,この限りでない。 (昭二三法二六〇・一部改正)

第799条【婚姻の規定の準用】
第738条〔成年被後見人の婚姻〕及び第739条〔婚姻の届出〕の規定は,縁組にこれを準用する。

第800条【縁組届出の審査】
縁組の届出は,その縁組が第792条乃至前条の規定〔養子縁組の要件〕その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ,これを受理することができない。

第801条【在外日本人間の縁組の届出】
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは,その国に駐在する日本の大使,公使又は領事にその届出をすることができる。この場合には,第739条〔婚姻の届出〕及び前条の規定を準用する。

第二款 縁組の無効及び取消

第802条【縁組の無効】
縁組は左の場合に限り,無効とする。
 一 人違その他の事由によつて当事者間に縁組をする意思がないとき。
 二 当事者が縁組の届出をしないとき。但し,その届出が第739条第2項〔婚姻の届出〕に掲げる条件を欠くだけであるときは,縁組は,これがために,その効力を妨げられることがない。

第803条【縁組の取消し】
縁組は,第804条乃至第808条の規定によらなければ,これを取り消すことができない。

第804条【養親が未成年者である縁組の取消し】
第792条〔養子をする能力〕の規定に違反した縁組は,養親又はその法定代理人から,その取消を裁判所に請求することができる。但し,養親が,成年に達した後6箇月を経過し,又は追認をしたときは,この限りでない。

第805条【養子が尊属又は年長者である縁組の取消し】
第793条〔尊属養子・年長者養子の禁止〕の規定に違反した縁組は,各当事者又はその親族から,その取消を裁判所に請求することができる。

第806条【後見人と被後見人の無許可縁組の取消し】
第794条〔後見人と被後見人の縁組〕の規定に違反した縁組は,養子又はその実方の親族から,その取消を裁判所に請求することができる。但し,管理の計算が終わつた後,養子が追認をし,又は6箇月を経過したときは,この限りでない。
A 追認は,養子が,成年に達し,又は能力を回復した後,これをしなければ,その効力がない。
B 養子が,成年に達せず,又は能力を回復しない間に,管理の計算が終わつた場合には,第1項但書の期間は,養子が,成年に達し,又は能力を回復した時から,これを起算する。

第806条の2【配偶者の同意を欠く縁組等の取消し】
第796条〔配偶者のある者の縁組における配偶者の同意〕の規定に違反した縁組は,縁組の同意をしていない者から,その取消しを裁判所に請求することができる。ただし,その者が,縁組を知つた後6箇月を経過し,又は追認をしたときは,この限りでない。
A 詐欺又は強迫によつて第796条の同意をした者は,その縁組の取消しを裁判所に請求することができる。ただし,その者が,詐欺を発見し,若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し,又は追認をしたときは,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第806条の3【監護者の同意を欠く縁組の取消し】
第797条第2項〔代諾養子の場合の監護者の同意を欠く縁組〕の規定に違反した縁組は,縁組の同意をしていない者から,その取消しを裁判所に請求することができる。ただし,その者が追認をしたとき,又は養子が15歳に達した後6箇月を経過し,若しくは追認をしたときは,この限りでない。
A 前条第2項の規定は,詐欺又は強迫によつて第797条第2項の同意をした者にこれを準用する。 (昭六二法一〇一・追加)

第807条【未成年者を養子とする無許可縁組の取消し】
第798条〔未成年養子の場合の家庭裁判所の許可〕の規定に違反した縁組は,養子,その実方の親族又は養子に代わつて縁組の承諾をした者から,その取消を裁判所に請求することができる。但し,養子が,成年に達した後6箇月を経過し,又は追認をしたときは,この限りでない。

第808条【婚姻取消し・離婚の規定の準用】
第747条〔詐欺・強迫による婚姻の取消し〕及び第748条〔婚姻取消しの効果〕の規定は,縁組にこれを準用する。但し,第747条第2項の期間は,これを6箇月とする。 A 第769条〔離婚による復氏の際の祭具等の承継〕及び第816条〔離縁による復氏〕の規定は,縁組の取消にこれを準用する。

第三款 縁組の効力

第809条【嫡出親子関係の発生】
養子は,縁組の日から,養親の嫡出子たる身分を取得する。

第810条【養子の氏】
養子は,養親の氏を称する。ただし,婚姻によつて氏を改めた者については,婚姻の際に定めた氏を称すべき間は,この限りでない。 (昭六二法一〇一・一部改正)

第四款 離縁

第811条【協議離縁】
縁組の当事者は,その協議で,離縁をすることができる。
A 養子が15歳未満であるときは,その離縁は,養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
B 前項の場合において,養子の父母が離婚しているときは,その協議で,その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
C 前項の協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所は,前項の父若しくは母又は養親の請求によつて,協議に代わる審判をすることができる。
D 第2項の法定代理人となるべき者がないときは,家庭裁判所は,養子の親族その他の利害関係人の請求によつて,養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
E 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは,家庭裁判所の許可を得て,これをすることができる。 (昭二三法二六〇・昭三七法四〇・昭六二法一〇一・平一一法一四九・一部改正)

第811条の2【養親が夫婦である場合の離縁】
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには,夫婦がともにしなければならない。ただし,夫婦の一方がその意思を表示することができないときは,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第812条【婚姻等の規定の準用】
第738条〔成年被後見人の婚姻〕,第739条〔婚姻の届出〕,第747条及び第808条第1項但書〔詐欺・強迫による婚姻・縁組の取消し〕の規定は,協議上の離縁にこれを準用する。

第813条【離縁届の審査】
離縁の届出は,その離縁が第739条第2項〔婚姻の届出〕,第811条〔協議離縁〕及び第811条の2〔夫婦共同離縁〕の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ,これを受理することができない。
A 離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときでも,離縁は,これがために,その効力を妨げられることがない。 (昭六二法一〇一・一部改正)

第814条【離縁原因】
縁組の当事者の一方は,次の場合に限り,離縁の訴えを提起することができる。
 一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
 二 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
 三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
A 第770条第2項〔婚姻継続の相当事由〕の規定は,前項第一号及び第二号の場合にこれを準用する。 (昭六二法一〇一・一部改正)

第815条【養子が15歳未満の場合の離縁の訴え】
養子が満15歳に達しない間は,第811条の規定によつて養親と離縁の協議をすることができる者から,又はこれに対して,離縁の訴を提起することができる。 (昭三七法四〇・一部改正)

第816条【離縁による復氏】
養子は,離縁によつて縁組前の氏に復する。ただし,配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は,この限りでない。
A 縁組の日から7年を経過した後に前項の規定によつて縁組前の氏に復した者は,離縁の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて,離縁の際に称していた氏を称することができる。 (昭六二法一〇一・一部改正)

第817条【離縁による復氏の際の祭具等の承継】
第769条〔離婚による復氏の際の祭具の承継〕の規定は,離縁にこれを準用する。

第五款 特別養子 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の2【特別養子縁組の成立】
家庭裁判所は,次条から第817条の7までに定める要件があるときは,養親となる者の請求により,実方の血族との親族関係が終了する縁組(この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
A 前項に規定する請求をするには,第794条〔後見人と被後見人の縁組〕又は第798条〔未成年養子〕の許可を得ることを要しない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の3【夫婦共同縁組】
養親となる者は,配偶者のある者でなければならない。A 夫婦の一方は,他の一方が養親とならないときは,養親となることができない。ただし,夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の4【養親の年齢】
25歳に達しない者は,養親となることができない。ただし,養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても,その者が20歳に達しているときは,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の5【養子の年齢】
第817条の2に規定する請求の時に6歳に達している者は,養子となることができない。ただし,その者が8歳未満であつて6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の6【父母の同意】
特別養子縁組の成立には,養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし,父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待,悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の7【特別養子縁組の必要性】
特別養子縁組は,父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において,子の利益のため特に必要があると認めるときに,これを成立させるものとする。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の8【事前監護の状況の考慮】
特別養子縁組を成立させるには,養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
A 前項の期間は,第817条の2に規定する請求の時から起算する。ただし,その請求前の監護の状況が明らかであるときは,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の9【実方血族との親族関係の終了】
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は,特別養子縁組によつて終了する。ただし,第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については,この限りでない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の10【離縁】
次の各号のいずれにも該当する場合において,養子の利益のため特に必要があると認めるときは,家庭裁判所は,養子,実父母又は検察官の請求により,特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
 一 養親による虐待,悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
 二 実父母が相当の監護をすることができること。
A 離縁は,前項の規定による場合のほか,これをすることができない。 (昭六二法一〇一・追加)

第817条の11【実父母等との親族関係の回復】
養子と実父母及びその血族との間においては,離縁の日から,特別養子縁組によつて終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。 (昭六二法一〇一・追加)