教員紹介

学 科 名 前  専攻・研究分野 
法律 加賀山 茂 教授 →模擬授業民法入門,担保法革命(第1部 物的担保,第2部 人的担保 民法,法情報学,消費者法,法と経営学



加賀山 茂 教授

KAGAYAMA, Shigeru
新入生へのメッセージ
加賀山茂のホームページ(仮想法科大学院)
生年月日 1948年2月 愛媛県宇和島生まれ
担当科目

民法科目
2014年度担当科目:(春学期・横浜)債権総論1,2年次演習,(秋学期・横浜)債権総論2,契約法1,(通年・白金)演習。

専攻分野 民法,法情報学,消費者法
最近の研究テーマ 1.「第三者のためにする契約」の再評価
2.情報化と民法のあり方,特に,決済手段の進化への対応
3.少子・高齢化と民法のあり方,特に,金融商品取引における顧客保護
4.「法と経営学」に関する6分野のケース研究
5.要件事実論批判
最近の発表論文・著書

・論文
 1. 「振込と組戻しの民法理論 −『第三者のためにする契約』による振込の基礎理論の構築− 」明治学院大学法科大学院ローレビュー』第18号(2013年3月)1-19頁
 2. 「第三者のためにする契約の機能 −債務者のイニシアティブによる公平な三面関係の創設機能−」 高森八四郎先生古稀記念論文集 『法律行為論の諸相と展開』 法律文化社(2013年10月)270-303頁
 3. 「ビデオを利用した授業の可視化とビデオ教材の制作」名古屋大学法政論集 (松浦好治教授退職記念号)(2013年7月)1-26頁
 4. 「『法と経営学』研究序説」 明治学院大学法科大学院ローレビュー19号(2013年12月)1−11頁
 5. 「民事訴訟法理論の破綻と修復の必要性−法律上の推定の復権という観点からの民訴法学に対する苦言と提言−」 明治学院大学法科大学院ローレビュー第20号 (2014/03/31) 1-28頁
・著書
 ・『DVD講義 民法入門 ・担保法革命 −ビジュアル民法講義シリーズ1−』信山社(2013年12月)85頁



新入生へのメッセージ

新入生の皆さん,入学おめでとうございます。年齢は高いのですが,実は,私も明治学院大学法学部の新入教員です。

私は,今から50ほど前に,大阪大学法学部に入学し,大学院を卒業後,国民生活センターで消費者問題を担当し,その後,大阪大学法学部,名古屋大学法学部で民法を教えて来ました。そして,2005年から昨年度(2013年度)まで,明治学院大学の法科大学院に勤めていましがが,今年度からは,法学部に移籍します。法学部では,法科大学院で培った新しい教育方法をさらに発展させ,新入教員として,法教育の初心に立ち返り,消費者である市民の立場に立って民法の体系を再構成し,社会に貢献できる人材を育成しようと考えております。なお,今年度は,民法全体の中から,債権総論(2年生)と契約法各論(1年生),2年次演習と演習(3・4年生)を担当します。

私の専門は民法ですが,伝統的な民法学の方法論とは少し異なり,法情報学を駆使して,民事紛争の解決過程をProlog(Programming in Logic)という言語を使ってコンピュータ上で再現できるシステムを開発するための研究を続けてきました。内容面では,大学に就職する前に,国民生活センターで消費者問題に取り組んだ実務経験を活かして,事業者の立場に立って資本の論理を推進する役割を演じてきた民法学を批判し,消費者の立場に立った民法学を構築するという研究目標を掲げています。

講義では,法律家の思考パターンであるIRAC(Issue, Rule, Application, Argumentation, Conclusion)を身につけることができるようになるため,講義と試験に工夫を凝らしています。具体的には,(1) Issue:重要な事例や判例の問題について,その争点をルールの目から見て重要な事実を発見する,(2)Rule:発見した事実からよりよいルールを発見する,(3)Application:発見したルールに当てはめて問題解決策を導き出す,それに満足せずに,(4)Argument:立場を代えて同じ作業をを行い,反対の結論を導き出す,(5)Conclusion:両者の立場に立って厳しい議論をした上で,それぞれの立場を乗り越えるようなよりよい結論を導く。このように,講義における質疑応答を通じて,多面的な思考能力が育つように,講義,演習を展開していくつもりです。

皆さんには,民法をマスターするために,最も有効であると思われる2つの方法を披露したいと思います。

第1は,教科書や文献を読む場合に,条文が出てきたら,面倒がらずに,自分の六法で,その条文を読み直してみる努力を続けることです。ついつい面倒になって,教科書に出てくる条文を読み飛ばす人が多いのですが,そのような人は,結局,民法をマスターできずに中途半端なまま社会に出てしまうことが多いのです。民法の理解度は,どれだけの時間をかけて,条文を何回読んだかにほぼ比例しますので,必ず条文を読み,分からない箇所はしるしをつけるか,法律辞典やコンメンタールに当たって,疑問点を解消するようにしましょう。

第2は,判例を読む場合に,事実関係を読み飛ばして,判旨だけを理解しようとする人が多いのですが,このような人も,民法をマスターできないまま,社会に出ることになります。判例を読む際は,判例ノートを作っておき,登場人物の関係を矢印等を使って図示するようにしましょう。そのような習慣をつけておくと,重要な判例は何度も引用されるので,その都度,事実関係の図が頭に入り,成績がぐんぐん上昇していくことに気づかれると思います。

以上の2点を試してみて下さい。卒業するまでには,民法に課する具体的な問題を,六法と判例ノートを頼りに,すらすらと解くことができるようになると思います。ご健闘を祈ります。