01Introduction
24/33 基本と応用との関係(2/2)←1←レベルの高さは求めないので,基本的なことを教えてほしい(学生談)

【テロップ】
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【ノート】
学生の中には,応用は無理だから,「基本だけ教えて欲しい」という意見を述べる人がいます。例えば,「レベルの高さは求めないので,基本的なことを教えてほしい」というよくある苦情です。そこで,私の経験した二つの例を紹介しながら,この考え方に反論したいと思います。 第1の経験は,スキーを始めたころの思い出です。 スキーは,基本と応用との関係を知る上でとても教訓的なスポーツだと思います。 急斜面で転がり落ちて初めて,基本の大切さを痛感できますし,かん斜面でいくら基本を勉強しても,かん斜面ではゴマカシがきくので,ゴマカシのきかない実際の急斜面に行ってみなければ応用力はつかないことも体験できるからです。 第2の経験は,大学院を出て,最初に就職した国民生活センターでの苦情処理の思い出です。 実務に入ってみれば,事業者関連法や特別法を理解することは,それほど困難なことではありません。優れたマニュアルができあがっており,それにしたがって実務をこなすことができるからです。 実務で解決が困難な問題というのは,実は,特別法に明文の規定がないために,マニュアルでは対応できず,基本法に照らして解決しなければならない問題であることがわかります。マニュアルにない問題にぶつかると,マニュアル人間や,同調型の人間は,見事に挫折します。 基本,例えば,法律の場合でいえば,民法などの基本法を理解するには,じかんのかかる地道な学修をするよりほかに方法がありません。一つのことに1年とか2年とかの時間をかけるなどということは,学生の時でないとできません。実務では,即戦力が要求されるからです。  実務では,困難な問題に直面したときは,徹夜で仕事をします。しかし,よく考えてみましょう。特別法なら一夜漬けが可能かもしれません。しかし,民法の基本は,何日徹夜したとしても,そんなに簡単に理解することはできません。学生時代の地道で長い時間をかけた学習だけが頼りになるのです。