06OptionMeans&Result
13/29 民法(債権関係)改正案←図(2015年3月31日国会提出改正案)

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
民法570条(売主の瑕疵担保責任)と消費者契約法8条第2項第1号(売主の追完権)との関係を見てきましたが,2015年3月31日に国会に提出された民法の一部を改正する法案を見てみましょう。 この法律案は,消費者契約法8条第2項第1号が規定していた「売主の追完権」をさらに一歩を進めて,買主に対して,「追完請求権」を与えています。 民法562条の改正案は,以下のように規定しています。 民法562条▲改正案▲第1項■引き渡された目的物が種類,品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは,買主は,売主に対し, 目的物の修補, 代替物の引渡し 又は 不足分の引渡しによる履行の追完 を 請求することができる。 ただし,売主は,買主に不相当な負担を課するものでないときは,買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。 民法562条▲改正案▲第2項■前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは,買主は,同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。 ■世界の傾向としては,追完権は,売主に与えるのが通例です。すなわち,消費者契約法8条2項のように規定するのが通例です。 ■皆さんの六法にも載っている,国際物品売買条約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)第48条(売主の追完権)を読んでみましょう。これが,世界的な傾向です。 ■これに対して,わが国の民法改正案では,買主に追完権を与えています。 ■しかし,民法改正案をよく見てみると,買主に完全な追完権を与えているわけではないことがわかります。 ■なぜなら,民法562条1項タダシガキは,「売主は,買主に不相当な負担を課するものでないときは,買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。 」と規定しています。つまり,買主の追完請求権とは,名ばかりで,実質的には,売主の追完権であることがわかります。 ■しかも,買主にキセキ事由がある場合には,民法562条2項によって,買主には,追完権もないのですから,この規定の実質は,売主の追完権と考えた方が,よいと思われます。