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26/29 結果債務と手段の債務の区別による難解な判例の解読

【テロップ】
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【ノート】
■「結果債務」と「手段の債務」の区別ができるようになると,従来の考え方では,手に負えないように思われる難解な判例を解読できるようになります。 理解するのが困難とされている最高裁判所第一小法廷▲昭和41年9月8日判決▲民事判例集▲20巻7号1325頁の判決要旨を読んでみましょう。■ 他人の権利を目的とする売買の売主が,その責に帰すべき事由によって,該権利を取得してこれを買主に移転することができない場合には,〔悪意の〕買主は,売主に対し,民法561条但書の適用上,担保責任としての損害賠償の請求ができない。■ そのときでも,なお債務不履行一般の規定〔民法415条〕に従って,損害賠償の請求をすることができるものと解するのが相当である。■ この判決の難解な点は,以下の通りです。 「特別法(民法561条)は,一般法(民法415条)を破る(排除する)」のであるから,従来の理論によれば,いくら一般法である民法415条で,損害賠償ができると規定していても,その特別法である民法561条2文が,明確に,「損害賠償の請求をすすることができない」と規定している以上,判決によって,損害賠償請求を認めることはできないはずであり,裁判所がそのような判断を下すことは,法令に反する越権行為であって,判決は無効であると考えざるを得ないのです。