06OptionMeans&Result
8/29 選択債権か? 選択債務か?→Q4

【テロップ】
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【ノート】
この講義では,「選択債権」という条文通りの用語法を使わず,あえて,「選択債務」という用語法を採用しているのは,なぜなのでしょうか? この講義で,あえて「選択債務」という用語法を採用しているのは,「選択債権」と考えると頭が混乱するからです。 すなわち,民法406条が,「選択権は,債務者に属する」としている理由がわからなくなるからです。 ■選択「債権」であれば,どれを選ぶかは,債権者の自由ではないのか? と考えるのが素直でしょう。 ■このように,選択債権という用語法を用いると,なぜ,民法406条は選択権が債務者にあるとしているのだろうか? という疑問が生じるのです。 この疑問は,民法410条1項が,「債権の目的である給付の中に,初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは,債権は,その残存するものについて存在する。」と規定しているのを知ったときにも生じます。 ■債権者が選択したいと思っていた選択肢が不能となった場合に,債権者としては,あえて,その選択肢を選択して,債権を終了させるとか,債務者から損害賠償を受けるという選択をしてもよいのではないか? と考えられるからです。■ これに対して,「選択債権」ではなく,「選択債務」だと翻訳して考えると,頭が整理されます。 選択債務だと考えると,債務者の立場に立って考えるので,第1に,選択権が債務者にあること(民法406条)が非常にわかりやすくなり,民法406条の規定に納得できます。 選択債務だと考えると,第2に,先に述べた,民法410条の場合の「不能の場合の選択の特定」も,債務者を保護するための規定として理解しやすくなります。 ■この問題については,のちに,詳しく検討することにします。