11Joint&Several1
10/30 通説から脱却するための視点

【テロップ】
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【ノート】
これまでの学習で,連帯債務に関する通説が,論理的に破綻しており,「違いのわからない」人たちによる,レベルの低い考えにすぎないことを明らかにしました。 ■通説も,債務一個説とは異なり,連帯債務を複数の債務だという点では,よい線まで行っているのですが,複数の債務の中身を一つの債務と考える点で,「区別ができない」という,レベルの低さを露呈させているのです。 ■プロフェショナルならば,複数の債務の中身について,以下のように,きちんと区別して,「違いのわかるヒト」になる必要があります。 第1は,連帯債務者の負担する「固有の債務」である負担部分です。 ■負担部分については,通説の見解と同じく,弁済によって消滅します。そして,債務の消滅によって,他の連帯債務者の保証部分を消滅させ,連帯債務の総額を減少させます。すなわち,弁済による絶対的効力を生じさせるのです。■ 第2は,連帯債務者が,他の連帯債務者のために負担する保証部分です。 ■保証部分については,その弁済によっても,債務は消滅しません。通説の誤りは,この点に集中しています。 ■保証部分の弁済は,保証人としての弁済なのですから,弁済によって債務は消滅せず,他の連帯債務者に対する求償権が生じ(民法442条以下),その求償権を確保するために,弁済による代位を生じさせるのです(民法500条以下)。 ■負担部分の弁済と保証部分の弁済の違い,すなわち,この二つを厳密に区別することによってのみ,素人のレベルにとどまっている通説のレベルを脱却し,連帯債務に関するプロフェショナルとなることができるのです。 ■視点を明確に保持するには,訓練が必要ですが,それを乗り越えることができれば,プロフェショナルになるのは,それほど,困難なことではありません。 ■そして,このレベルに達することができると,わが国の学者や法曹がいかに低いレベルにとどまっており,それが理由となって,2015年3月31日に国会に提出された,民法(債権関係)改正の法律案についても,連帯保証人を含む保証人の保護の観点から見て,連帯債務に関する改正は,最悪のものとなっているかを見抜くことができるようになります。