11Joint&Several1
15/30 連帯債務の構造→原理相互保証理論による解明→ジレンマ と その克服

【テロップ】
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【ノート】
連帯債務の本質とその構造を明らかにする理論である相互保証理論について説明します。 ■従来の通説では見ることができなかった連帯債務の内部構造が,相互保証理論によって明確に示され,それを通じて連帯債務の本質が明らかになります。 ■これが,今日の講義の第2のハイライトとなります。 従来の通説は,連帯債務とは,連帯債務の全額について,それぞれの連帯債務者が全額について,別個・独立の債務を負うものであると考えてきました。 ■つまり,個々の連帯債務者がどれだけの負担部分を有しているかについては,必要に応じて考慮するのであって,個々の連帯債務の性質は,均一であり,セツレイの場合では,すべての連帯債務者が600万円の均一の連帯債務を負担すると考えてきました。 ■そのように考えると,連帯債務者の一人が連帯債務の全額を支払うと,別個独立であるはずの連帯債務がなぜ,すべて消滅するのか?という疑問に答えることができません。 ■また,保証とは異なる別個・独立の債務を弁済しているにもかかわらず,弁済をした連帯債務者が他の連帯債務者に求償できるのは,なぜなのでしょうか? ■これらの疑問点に,通説は,論理一貫した説明をすることができませんでした。 ■これに対して,相互保証理論は,まず,連帯債務の内部構造を明らかにしています。 ■例えば,3人の債務者▲Y1▲,Y2▲,Y3▲が,債権者▲Xからそれぞれ,300万円▲,200万円▲,100万円▲を借りることにして,債権者Xに対して,連帯して債務を負うとの契約を締結したという,この講義での共通のセツレイの場合で説明すると, 連帯債務者▲Y1 の連帯債務の内部構造は,以下のように明確となります。■ 第1に,連帯債務者▲Y1▲は,自分の固有の債務である300万円を負担部分として支払う債務を負います。■ 第2に,連帯債務者▲Y1▲は,他の連帯債務者Y2▲の負担部分200万円について,連帯保証を負担します。■ 第3に,連帯債務者▲Y1▲は,他の連帯債務者Y3▲の負担部分100万円について,連帯保証を負担します。■ 結果として,連帯債務者▲Y1▲は,負担部分300万円,保証部分300万円の合計600万円の連帯債務を負担します。 連帯債務者▲Y2▲の連帯債務の内部構造も,同様にして,以下のように明確となります。■ 第1に,連帯債務者▲Y2▲は,自分の固有の債務である200万円を負担部分として支払う債務を負います。■ 第2に,連帯債務者▲Y2▲は,他の連帯債務者Y1 の負担部分300万円について,連帯保証を負担します。■ 第3に,連帯債務者▲Y2▲は,他の連帯債務者Y3 の負担部分100万円について,連帯保証を負担します。■ 結果として,連帯債務者▲Y2▲は,負担部分200万円,保証部分400万円の合計600万円の連帯債務を負担します。 連帯債務者▲Y3▲の連帯債務の内部構造も,同様にして,以下のように明確となります。■ 第1に,連帯債務者▲Y3▲は,自分の固有の債務である100万円を負担部分として支払う債務を負います。■ 第2に,連帯債務者▲Y3▲は,他の連帯債務者Y1 の負担部分300万円について,連帯保証を負担します。■ 第3に,連帯債務者▲Y3▲は,他の連帯債務者Y2 の負担部分200万円について,連帯保証を負担します。■ 結果として,連帯債務者▲Y3▲は,負担部分100万円,保証部分500万円の合計600万円の連帯債務を負担します。 ■このように,連帯債務の構造を本来の債務である負担部分と他の連帯債務者に対する連帯保証部分とに分けて考えることによって,つぎに述べるように,連帯債務者の一人が全額を弁済した場合の結果について,連帯債務の債務的性質と,保証的性質を総合して,矛盾なく一貫した説明をすることができるのです。