11Joint&Several1
27/30 連帯債務の絶対的効力の3分類→基本設例,条文と原理,通説とその反論,ジレンマ,まとめ,応用問題
【テロップ】
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【ノート】
これまでの学習を通じて,民法440条には,欠陥があることが判明しました。 ■この欠陥を修復しつつ,連帯債務者の一人に生じた事由が,他の連帯債務者に対しても絶対的効力を生じさせるのか,それとも,その一人の連帯債務者と債権者との間だけで,相対的な効力が生じるにとどまるのか,その全体像を図解することにしましょう。 ■これが,今回の連帯債務の講義の結論になります。■ 連帯債務者の一人に生じた事由は,三つに分類されます。 ■第1に,フジュウ性のみの絶対的効力を生じる事由とは何でしょうか?■ それは,法律行為の不成立,取消し・無効,免除,消滅時効という,負担部分の不満足的消滅の場合です。 ■第2に,フジュウ性のみでなく,求償まで生じさせる絶対的効力事由とは何でしょうか?■ それは,弁済,更改・ダイブツ弁済,ソウサイ,混同という,連帯債務の満足的消滅の場合です。 ■第3に,保証の規定が準用されることによって生じる絶対的効力事由とは,何でしょうか?■ それは,民法457条1項,すなわち,「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は,保証人に対しても,その効力を生じる)」という保証の規定が準用される場合であり,民法434条がそのことを規定しています。 ■もっとも,この民法43条の規定は,負担部分についてのみ効力を及ぼすべきであり,通説・判例は,これを拡大解釈をして,連帯債務の総額について,絶対的効力を及ぼすというように,連帯債務者に不利に解釈してきました。 ■このため,連帯債務者をほごするという観点から,民法(債権関係)改正法律案では,民法434条は削除されることになっています。 ■しかし,これは,反対の意味で行き過ぎであり,免除や時効消滅の場合と同様,負担部分の範囲で効力を及ぼす絶対的効力と解釈すればよく,削除する必要はないと,私は考えています。