11Joint&Several1
5/30 連帯債務の基本設例→負担部分,原理,応用例

【テロップ】
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【ノート】
連帯債務の学習を進める上で,これから解明していくすべての問題に共通する基本的な事例を示すことにします。 ■本講義のすべてに登場する共通のセツレイは以下の通りです。■ 3人の債務者▲Y1 ▲,Y2 ▲,Y3 ▲が,債権者▲Xから,それぞれ,300万円▲,200万円▲,100万円▲を借りることにして,債権者Xに対して,連帯して債務を負うとの契約を締結したとします。■ 連帯債務は,当事者間にどのような効果を生じさせるのでしょうか? ■このセツレイを図示してみましょう。 ■そうすると,文章には表れていない,不思議な数字として,Y1 ▲に300万円▲,Y2 ▲に400万円▲,Y3 ▲に500万円▲という数字が現れてきます。 ■この数字が何を意味するのかを考え,説明できるようになるのが,この講義の最初の目標です。 ■最初の目標が決まったので,少しずつ図示することにしましょう。 債権者▲Xから,三人の債務者がお金を借りたとします。すなわち, Y1 ▲が,Xから,300万円借り,■ Y2 ▲が,Xから,200万円借り,■ Y3 ▲が,100万円を借りたとします。 ■その上で,それぞれの連帯債務者が,債権者▲Xに対して,それぞれが,合計額である600万円を連帯して負担するとの契約を締結したとします。 そうすると,債権者▲Xは,Y1 ▲に対しても,600万円,Y2 ▲に対しても,600万円,Y3 ▲に対しても600万円を請求することができます。 ■ここで,疑問が生じます。債権者▲Xが三人に貸した合計額である600万円を請求できるのは当然ですが, ■債務者のそれぞれの立場に立って考えると,疑問が生じます。 300万円しか借りていないY1 ▲が,残りの300万円を支払わなければならないのはなぜでしょうか?■ 200万円しか借りていないY2 ▲が,残りの400万円を支払わなければならないのは,なぜでしょうか?■ 100万円しか借りていないY3 ▲が,残りの500万円を支払わなければならないのは,なぜでしょうか? ■「連帯しているのだから,当たり前だ」と思うヒトがいるかもしれませんが,学問的には,それは,答えになっていません。 ■300万円しか借りていないY1 ▲が,残りの300万円を債権者▲Xに支払わなければならないのは,Y1 ▲が,Y2 ▲,Y3▲の負担部分を肩代わりして,債権者▲Xに支払っているからです。 ■その証拠に,余分に支払った300万円は,Y2 ▲から200万円▲,Y3▲から,100万円▲,合計300万円の全額を求償によって取り戻すことができます。 ■つまり,自己の負担部分である300万円を超えて,連帯保証部分である300万円を他の連帯債務者に代わって弁済したY1 ▲は,もともと,債権者▲Xから,300万円しか借りていないのですから,残りの300万円は,Y2 ▲から200万円▲,Y3▲から,100万円▲,というように,300万円全額を求償によって取り戻すことができます。 ■このようにして,最終的には,Y1 ▲は,債権者▲Xに対して,300万円だけしか負担しないのです。 ■同様にして,200万円しか借りていないY2 ▲が,残りの400万円を債権者▲Xに支払わなければならないのは,Y1 ,Y3▲の分を肩代わりして支払っているからです。 ■その証拠に,余分に支払った400万円は,Y1 ▲から300万円▲,Y3▲から,100万円▲,合計400万円の全額を求償によって取り戻せるので,200万円しか借りていないY2 ▲は,最終的には,債権者▲Xに対して,200万円しか負担しないのです。 ■同様にして,200万円しか借りていないY3 ▲が,残りの500万円を債権者▲Xに支払わなければならないのは,Y1▲ ,Y2▲の分を肩代わりして支払っているからです。 ■その証拠に,余分に支払った500万円は,Y1 ▲から300万円▲,Y2▲から,200万円▲,合計500万円の全額を求償によって取り戻せるので,100万円しか借りていないY3 ▲は,最終的には,債権者▲Xに対して,100万円しか負担しないのです。 ■以上が,正しい答えなのですが,すぐには理解できないと思います。今の段階では,それでよいのです。 ■以上のことを正確に理解するためには,連帯債務の本質を知る必要があるからです。 ■ここでは,これから学習を進めていく際に用いる,共通のセツレイが何かを理解できれば,それで,十分です。 ■これから,徐々に,連帯債務者が,債権者に負う債務と連帯保証の組み合わせについて,理解を深めていくことにしましょう。