12Joint&Several2
14/33 不真正連帯債務
【テロップ】
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【ノート】
通説に基づいて記述されている『法律学小辞典』(有斐閣)によると, ■不真正連帯債務とは,「多数の債務者が同一内容の給付について全部の履行をしなければならない義務を負い,一債務者の弁済によって他の者も債務を免れる点で連帯債務と近似するが,債務者間に主観的共同関係がなく,したがって弁済を除いて債務者の一人に生じた事由が他の債務者に効力を及ぼさない(民法434条~440条参照)点でそれと区別される」債務であるとされています。 ■通説・判例によれば,不真正連帯債務の典型例として,民法719条の共同不法行為が挙げられています。 ■しかし,民法719条は,共同不法行為者は「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」と規定しており,共同不法行為者の損害賠償責任が,連帯債務であることを明文で規定しています。 ■通説は,民法の規定にもかかわらず,共同不法行為者の責任は,連帯債務ではなく,不真正連帯責任だと述べています。ここでも,通説は,わが国の民法の条文を無視する解釈を行っています。■ ここでは,通説が,民法719条について,なぜ,連帯債務ではなく,不真正連帯債務と位置づけなければならなくなったのかの理由を究明することを通じて,その原因は,連帯債務に関する破綻した理論が民法719条の場面でも破綻しており,それを取り繕うために,民法719条の連帯責任を,わざわざ,不真正連帯債務だとしているだけであることを明らかにします。■ そして,判例が,民法719条の場合にも,共同不法行為者間での求償を認める至った現状においては,それは,連帯債務と同じであり,民法719条の連帯責任を不真正連帯債務だという必要性がなくなったのであり, 不真正連帯債務は,もはや不要であり,民法719条に代表される不真正連帯債務は,法律の規定に基づく連帯債務であって,通常の連帯債務と同じものに過ぎないことを明らかにします。