12Joint&Several2
20/33 求償の要件としての事前・事後の通知

【テロップ】
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【ノート】
連帯債務の学習の最後,学習によって応用力がついたかどうかをチェックする意味で,最難関とされる連帯債務の問題の中でも,さらに,最難関といわれる,連帯債務の求償の要件としての,事前・事後の通知の問題を取り上げます。 ■この問題を解けることができるようなったら,それは,そのヒトが,最高裁の裁判官,民法学者のレベルを超えたことを意味します。 ■多少,時間がかかりますが,しっかりと学習して,全国でトップレベルの学生となることを目指しましょう。■ これまで習った連帯債務の知識を総動員し,特に,”Do for others”を行う際に陥りやすい問題点をふりかえることによって,昭和57年12月17日の最高裁判決の滑稽さを見抜くことにしましょう。 ■最高裁昭和57年判決の事案の争点は,民法443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)が求償の条件として要求している事前の通知ばかりか,事後の通知をも怠って全額を弁済した第1の連帯債務者と,事後の通知を受けていないために,事前の通知をせずに,自己の負担部分を支払って事後の通知をした第2の連帯債務者の,どちらを保護すべきかという問題です。 ■民法443条は,連帯債務者の一人が,事前または事後の通知を怠った場合の求償の制限に関する規定であって,複数の連帯債務者が,いずれも,通知を怠った場合にどのような結果が生じるのか規定をしていません。 ■事案にぴったりとくる条文がないときこそ,解釈の重要性と解釈能力が問われるのであり,解釈するモノは,当事者の意思,取引慣行等を考慮するとともに,関連する条文の立法趣旨,民法の体系に照らして,関連条文を事案に適用できるように解釈すべきです。 昭和57年12月17日の最高裁判決が滑稽なのは,民法443条の立法の趣旨を考慮することなく,一方で,求償の要件である事後の通知を怠って,二重弁済の原因を作った第1の連帯債務者に対して,なんらの制裁を与えることなく求償権を認め,他方で,負担部分の範囲内の弁済であるために,事前の通知をしなくてもよいはずの第2の連帯債務者に対して,二重払いの負担を課したからです。 このような暴挙を許さないためには,連帯債務の弁済において,債務者としての弁済と連帯保証人としての弁済の二つを厳しく区別することが重要であることを,再度,確認しなければなりません。 ■保証人が弁済する場合には,他人ために弁済するために,”Do for others”の精神に則り,債務者に求償するためには,債務者が債権者に対して既に弁済しているのではないか,債権者に抗弁を有しているのではないか等を知るために,事前の通知が必要ですし,保証人として弁済した後には,二重弁済を未然に防止するために,事後の通知をする必要があります。 しかし,債務者が債務を弁済する場合には,保証人に対する求償は問題とならないのですから,事前の通知は必要がありません。ただし,弁済した後には,債務者にも,保証人が二重弁済することを未然に防止するために,事後の通知だけが義務づけられています。 ■債務者は求償権を有しないにもかかわらず,債務者にも,事後の通知が義務づけられるのは,債務者が委託をした保証人に対してのみ,”Do for others”の精神の一つである安全配慮義務として,求償とは関係なしに債務者に義務づけられるものなのです。 このように考えると,通説も正しく指摘しているように,民法463条2項が,事前・事後の通知義務を債務者に準用しているのは,立法の過誤であり,債務者は,求償の要件としての事前の通知は不要であり,委託をした保証人が二重弁済をしないように,事後の通知だけが義務づけられると解釈すべきであるということになります。