12Joint&Several2
21/33 求償の要件としての →保証の場合の条文事前・事後の通知の要件(条文)
【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。
【ノート】
民法は,連帯債務者の一人が,他の連帯債務者に求償することができるのは,民法442条が規定しているように,自己の負担部分を超えて弁済した場合に限ることを説明しました。 ■民法は,連帯債務者の一人が,他の連帯債務者に対して求償できるためには,民法442条の要件のほかに,さらに,他の連帯債務者に対して,以下のように,事前の通知と事後の通知が必要であるとしています。 民法443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)は,以下のように規定しています。■ 民法443条▲第1項■(事前の通知)■連帯債務者の1人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし,その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において, 他の連帯債務者は,債権者に対抗することができる事由を有していたときは,その負担部分について,その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。■ この場合において,ソウサイをもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは,過失のある連帯債務者は,債権者に対し,ソウサイによって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。 ■連帯債務者が他の連帯債務者に対して求償ができるのは,他の連帯債務者に代わって弁済したからであり,その場合には,”Do for others”の精神に則り,他の連帯債務者の利益を害さないために,二つの条件を満たすことが必要であるとしています。 ■第1の条件が,民法443条1項の事前の通知です。なぜ,事前の通知が必要かというと,連帯債務者の一人が弁済する前に,すでに,他の連帯債務者が負担部分の弁済をしていたり,ソウサイ等の抗弁を持っている場合があるので,そのような抗弁事由が発生しているかどうかを知るためです。 ■もしも,連帯債務者の一人が事前の通知を怠ると,他の連帯債務者が持っていた抗弁の対抗を受けることになり,その場合には,求償ができなくなるか,債権者から支払った分を取り戻すことになります。 ■第2の条件が,事後の通知です。民法443条▲第2項は,以下のように規定しています。■ 民法443条▲第2項■(事後の通知)■連帯債務者の1人が弁済をし,その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため, 他の連帯債務者が善意で弁済をし,その他,有償の行為をもって免責を得たときは, その免責を得た連帯債務者は,自己の弁済その他,免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。 ■民法443条は,以上のように,求償の条件として,事前の通知と事後の通知を挙げており,この条件を満たさない場合には,求償が制限されるのですが,連帯債務者の一人が,事後の通知を怠って弁済し,しかも,他の連帯債務者も,事前の通知を怠って弁済した場合に,どちらの弁済が有効となるのかについては,明確な規定を欠いています。 ■そこで,そのような場合にどのような判断を下すべきかが,裁判所に求められることになったのです。