12Joint&Several2
31/33 求償の要件としての事前・事後の通知まとめ(→図解)

【テロップ】
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【ノート】
連帯債務の求償の要件について,まとめて整理をしておきましょう。■ 民法443条2項適用否定説は,判例の見解ですが,最高裁昭和57年判決で批判したように,最初に事後の通知を怠ったXを優遇することになり,公平に反する見解です。■ 民法443条2項適用肯定説は,条文上の根拠があり,当然のことなのですが,Yが求償を全額拒絶できるという結論に至るものであるため,結果は不当です。■ 折衷説は,過失の程度で解決するため,XとYの過失が同程度である場合においては,解決の指針を得ることができません。 ■この点,私の説は,相互保証理論に従って,負担部分を超える保証人としての弁済と,負担部分の範囲内の主たる債務者としての弁済とを厳しく区別するものであるため,理論上も矛盾がなく,具体的な妥当性も確保できます。 負担部分を超える弁済の場合には,求償権を行使するためには,事前・事後の通知が必要です。 したがって,事後の通知を怠ったXの求償権は制限されます。■ これに対して,負担部分の範囲内の弁済の場合には,求償権は生じないので,事前の通知は必要がありません。■ したがって,Yの弁済は有効であり,Xの求償権は,Yの弁済額だけ減額されます。 ■本判決では,問題とならなかったのですが,両者ともに通知義務を怠った場合には,どうなるのでしょうか? 両者とも通知義務を怠った場合には,民法443条の1項の要件も2項の要件も満たされて,その結果に矛盾が生じるため,民法433条の立法の趣旨に立ち返り,両者ともに,求償権を取得できないと考えるべきでしょう。 ■そして,弁済充当の規定を準用して,それぞれの弁済は,複数の弁済者の負担部分に優先的に充当されると考えるべきでしょう。■ その上で,さらに,二重弁済が生じた部分,すなわち,負担部分を超えた弁済については,各連帯債務者が,債権者に対して,不当利得に基づく返還請求を行うことになります。