12Joint&Several2
5/33 一部(半額)免除の絶対的効力(1/4)柚木説:債務から免除 ←全額免除と同じ

【テロップ】
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【ノート】
連帯債務の全額免除については,すでに説明しました。 ■今回は,さらに一歩を進めて,連帯債務の一部免除について,特に半額免除について検討します。 ■一部免除については,学説,判例が対立しているため,すべての説を紹介することにします。 ■相互保証理論の優れているところは,どの説をとるかにかかわりなく,どの説であっても,その説を正確に「図解」して説明できる点にあります。 ■共通のセツレイによって,図解をしていきます。 ■すなわち,債権者▲Xから,Y1 ▲が300万円▲,Y2 ▲が200万円▲,Y3 ▲が100万円をそれぞれ借りて,全員が600万円の連帯債務を負担したとします。 ■まず,図の下の部分,すなわち,負担部分から免除が始まるとする柚木説を紹介します。■ 柚木説によれば,債権者が,Y1 ▲に対して,連帯債務の半額を免除するという場合,600万円の半額は,300万円であり,その内容は,負担部分から優先的に免除が行われると解するため,セツレイの場合には,負担部分である300万円が免除されることになります。■ つまり,柚木説では,Y1 ▲に対する連帯債務の半額(300万円)の免除とは,負担部分(300万円)の免除となり,負担部分300万円が消滅します。■ その結果,Y1 ▲の連帯債務は,600万円から300万円へと減額されますが,Y1 ▲の連帯債務の内訳は,Y2 ▲に対する保証部分とY3 ▲に対する保証部分は,そのままであり,Y1 ▲は,連帯債務者から,負担部分ゼロの連帯債務者,すなわち,連帯保証人へと地位が変化します。 ■連帯債務者の一人であるY1 ▲に生じた負担部分の消滅は,フジュウ性を通じて,他の連帯債務者に対して,必然的に,以下のような絶対的効力を及ぼすことになります。 Y1 ▲の負担部分が消滅すると,Y1 ▲の負担部分を保証していた,Y2 ▲の保証部分がフジュウ性によって消滅します。■ その結果,Y2 ▲の連帯債務の全額が,600万円から,300万円に減額されます。 ■これが,免除による絶対的効力です。■ 同様にして,Y1 ▲の負担部分を保証していた,Y3 ▲の保証部分も,フジュウ性によって消滅します。■ この結果,Y3 ▲の連帯債務の全額が,600万円から300万円に減額されます。これも,免除による絶対的効力です。■ 最終的には,Y1 ▲の連帯債務は,負担部分の消滅した300万円の連帯債務,すなわち,300万円の連帯保証へと変化します。 ■このように検討してくると,柚木説の問題点は,セツレイの場合,Y1 ▲に対する連帯債務の半額免除のその結果が,Y1 ▲に対して,連帯債務の全額免除をした場合と全く同じになる点です。 ■全額免除しても,半額免除しても,結果が同じというのでは,しっくり来ないというのが,柚木説に対する正直な感想でしょう。