12Joint&Several2
7/33 一部(半額)免除の絶対的効力(3/4)判例(大判昭15・9・21) 按分比例→Q9
【テロップ】
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【ノート】
■つぎに,図の上下ではなく,縦の半分を免除する,すなわち,負担部分と保証部分の割合をそのままに,負担部分も半分免除し,保証部分も半分を免除するという,判例の見解を紹介します。 ■判例の見解によれば,債権者が,Y1 ▲に対して,連帯債務の半額を免除するという場合,負担部分300万円の半額の150万円,保証部分の300万円の半額の150万円が免除されることになります。■ 判例の見解では,Y1 ▲に対する連帯債務の半額(300万円)の免除とは,負担部分の150万円,保証部分の150万円,合計300万円の免除を意味することになります。■ その内容は,負担部分と連帯部分がもとの比率と同様に減少して,負担部分が150万円,連帯部分が150万円となります。■ 半額免除されたY1 ▲の連帯債務は,600万円から300万円に減額されます。 ■さきに,ワガツマ説のところで説明したように,保証部分の免除の場合は,他の連帯債務者に影響を及ぼしません。■ Y1 ▲の負担部分150万円の消滅だけが,Y1 ▲の負担部分を保証しているY2 ▲,および,Y3 ▲の保証部分について,フジュウ性によって,それぞれ,150万円の範囲で,連帯債務の減額を生じさせます。■ その結果,Y2 ▲の連帯債務の全額が,600万円から,450万円に減額されます。■ 同様にして,Y1 ▲の負担部分を保証していた,Y3 ▲の保証部分も,フジュウ性によって消滅します。■ この結果,Y3 ▲の連帯債務の全額が,600万円から450万円に減額されます。これも,免除による絶対的効力です。■ 最終的には,Y1 ▲の連帯債務は,負担部分150万円,保証部分150万円の300万円の連帯債務となり,Y2 ▲の連帯債務は,負担部分200万円,保証部分250万円,合計450万円の連帯債務となり,Y3 ▲の連帯債務は,負担部分100万円,保証部分350万円,合計450万円の連帯債務へと変化します。 ■判例の見解に対しては,連帯債務の一部免除が,「負担部分の免除と連帯部分の按分比例による免除を意味する」という解釈が技巧的にすぎるのではないかとの批判があります。 ■しかし,債務の免除(すなわち,負担部分の免除)に偏りすぎる柚木説,連帯の免除(すなわち,保証部分の免除)に偏りすぎる他の説と比較すると,判例の見解は,連帯債務の免除の意味が,債務の免除と,連帯の免除とが,バランスよく行われることになっており,その結果も妥当であると評価できると,私は考えています。