12Joint&Several2
9/33 連帯債務の一部弁済と求償

【テロップ】
※各テロップ文字をクリックすると該当の場所がピンポイントで閲覧できます。



【ノート】
連帯債務の免除の場合に,全部免除よりも,一部免除の方が格段に難しかったように,弁済の場合にも,一部弁済の方が格段に難しくなります。 ■特に,連帯債務者の一人が,連帯債務額全額ではなく,一部弁済をした場合に,他の連帯債務者にどの範囲で求償できるかについては,争いがあります。 通説・判例は,全部弁済の場合にも,論理破綻を来たしているため,一部弁済の場合には,さらに,破綻が広がり,矛盾と混乱の極地に達しています。 ■なぜなら,通説は,一部弁済した連帯債務者は,どのような小額であっても,すなわち,1円を弁済した場合でも,他の連帯債務者に対して,負担部分の額に応じて求償ができると考えているからです。 ■しかし,通説・判例が,最後の部分で「負担部分の額に応じて求償ができる」と考えるのであれば,最後だけではなく,最初から負担部分を考慮し,連帯債務者の一人が一部弁済をした場合には,それが自己の負担部分を超えない範囲の弁済である場合には,弁済充当の規定に従い,民法487条第二号によって,負担部分の弁済に充当されると考え,求償は生じないとすべきです。 ■そして,負担部分を超えた場合に初めて,他の連帯債務者の負担部分に応じて,求償をすることができると考えるのが論理的です。 ■しかし,通説・判例は,連帯債務者の一人が弁済をすれば,その分,連帯債務は消滅するのであり,どんなに小額であっても,不当利得に基づいて求償ができると考えています。 ■この点については,さきに通説・判例を批判した際に,連帯債務の弁済のうち,負担部分の弁済については,連帯債務を消滅させるが,負担部分を超えて,保証部分を弁済した場合には,連帯債務者の求償権を確保するために,連帯債務は消滅することなく,求償権の範囲で(すなわち,他の連帯債務者の負担部分の範囲で),弁済した連帯債務者は,民法500条以下に基づいて,債権者に代位するのです。負担部分を超えて弁済した場合にのみ,求償権が生じることを銘記しなければなりません。 ■負担部分の弁済と保証部分の弁済の区別ができない,低レベルの思考方法に甘んじている通説・判例が,全額弁済よりも困難な問題である一部弁済の問題で,矛盾と混乱を拡大しているのは,以上の理由に基づいています。■ 通説・判例の滑稽なところは,自らの破綻を回避するために,民法465条を反対解釈して,自らの矛盾を正当化しようとしているところにあります。 ■しかし,民法の制定の歴史を知れば,民法465条は,反対解釈が許されない規定であることが明らかです。 ■そこで,ここでは,民法456条の制定の歴史に遡って,なぜ,民法456条は,反対解釈を許さない規定であるのかを明らかにします。■ 通説・判例の民法465条の解釈における歴史認識の甘さを反面教師として,歴史的思考,論理的思考,および,比較法的思考を身につけることにしましょう。