2004年度 民法X(家族法)
2004年4月6日
名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂
1.配当学年 3年(X期)
2.担当教官名 加賀山 茂
3.講義内容
民法第4編(親族),第5編(相続)について講義を行う。
(1)講義の概要と目標
親族・相続法は,まとめて,家族法と呼ばれているが,民法には,「家族」の定義と概念が欠落している。それはなぜなのかという問題を探求することを通じて,わが国の家族法の成立と改正の過程を含めて現行家族法の全体像と問題点を明らかにしていく。
その上で,現代の家族が直面する問題,例えば,人工生殖,ドメスティック・バイオレンス,嫁と舅・姑の関係,老人介護等の問題を解決するために,どのような新しい家族法が要請されているのかを考える。
民法のうち,財産法(総則,物権,債権)は,比較法的な研究によっても,世界に誇りうるすぐれた制定法であるといえよう。しかし,家族法(親族・相続)は,戦後の混乱期に十分な議論をせずに制定されたものである。このため,現行の家族法は,表面上は,封建的な家制度を廃止した近代的な法ということになっているものの,詳しく検討すると,憲法に反すると思われる規定が随所に残っており,根本的な改正が必要な法律である。
そこで,本年度の講義では,急激に変化する家族の実態に現行の家族法がどこまで対応し切れているのか検討し,解釈論の限界を超える部分は,立法論をも展開したいと考えている。
この講義を通じて,新しい家族法をどのように再構築すべきについて,各人が家族法の具体的な改正イメージを描けるようになってほしい。それがこの講義の目標である。
(2)講義の方法
講義は,事前に示した事例と課題を中心として,具体的な問題に関する説明と受講生との間の質疑を通じて行う。
事前に示した事例を読み,課題について準備をせずに講義に出席しても,質問に答えられず,講義にもついていけないので,あらかじめ予習をしておくことが大切である。
4.受講上の注意
- 予習
- 受講生は,講義の前に,以下に示すWeb教材にアクセスし,課題を解くために,予習をしておくことが必要である。
- 読むべき判例は,講師のホームページ仮想法科大学院(http://lawschool.jp/kagayama/)の『2004年度家族法講義』というレジュメにおいて,課題として指示するが,その他の判例についても,必要に応じて,電子データ(家族法判例百選に掲載された判例全文データ)等のサイトにアクセスして参照しておくことが望ましい。
- 講義
- 事例・判例を中心に講義する。
- 事実を重視するので,判例の事実を聞かれたら要約できるように準備しておく。
- 講義では,体系を無視するので,教科書で自習しておくこと。
- 電子掲示板での質疑
- 予習中,および,講義の後で疑問が生じた場合には,Going
Syllabus(http://gs.cshe.nagoya-u.ac.jp/syllabus/)という電子掲示板に質問コーナーを設けるので,自由に質問することできる。質問には,なるべく早く回答する予定である。
5.教材
利用する教材は以下の通りである。
- 教科書:民法(8)親族,民法(9)相続[第4版]有斐閣双書(1996)
- 参考図書:別冊ジュリスト・家族法判例百選〔第6版〕
- 電子教材
- 講師のホームページ
- 加賀山茂Home
Page(http://www.nomolog.nagoya-u.ac.jp/~kagayama/)
- 仮想法科大学院(http://lawschool.jp/kagayama/)
- 2004年度家族法講義(1年間のレジュメ集)(http://www.lawschool-jp.com/kagayama/material/civi_law/family/lecture2004/)
- 法律,判例,法律に関する文献を検索するためのページ
- 法令検索
- 法令データ提供システム(総務省
行政管理局)(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)
- 判例検索
- 最高裁ホームページ(http://www.courts.go.jp/)
- 文献検索
- 家族法判例百選に掲載された判例全文データ
- 旧法令
- 旧民法(1890年(明治23年))
- 人事編(http://lawschool.jp/kagayama/material/civi_law/family/old_code/kyumin_jinji.html)
- 民法旧規定(1898年(明治31年))
- 親族編(http://lawschool.jp/kagayama/material/civi_law/family/old_code/kyukitei_sinzoku_3.html)
6.評価
以下の資料を総合的に勘案して評価する。
- 課題に関する質疑・応答
- Going
Syllabus(http://gs.cshe.nagoya-u.ac.jp/syllabus/)への書き込み
- 期末試験の成績