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作成:2006年4月14日

明治学院大学法科大学院教授 加賀山 茂



講義のねらい


権利の客体(目的:object; objet; Gegenstand)は,物権の場合は,物に対する支配であるが,債権の場合は,人(債務者)の行為である。「債権の目的」が物の引渡である場合には,「物」が重要な意味をもつが,それは,「債権の目的」ではなく,「債権の目的物」といわれている。そして,債権の目的物には,有体物ではなく,無体物(例えば,債権)が含まれることは,債権譲渡(債権の贈与又は債権の売買)の規定(民法466条以下)を見れば明らかである。

そうだとすると,権利の客体とされる物は,有体物だけでなく,無体物が含まれることは明らかであるといわなければならない。それにもかかわらず,民法85条が,「この法律において,『物』とは,有体物をいう。」と規定しているのはなぜなのだろうか?

第85条(定義)
この法律において「物」とは,有体物をいう。

この問に答えられるようになることが,ここでの第1の目標である。そして,この問題の解決を試みた後,物権の目的(物),または,債権の目的物として,重要な意味をもつ「物」について概観する。


T 権利の客体


1 物権の客体

物権とは,物を支配する権利であるから,物権の客体は,民法85条にいう有体物(固体,液体,気体)としての物である。

もっとも,担保物権を物権であると考える通説の見解によれば,一般先取特権(民法306条〜310条),権利質(民法362条〜366条),地上権・永小作権を目的物とする抵当権(民法369条2項)のように,権利の客体を財産権(債権を含む)とするものについては,物権の客体が物(有体物)だということはできない。権利は有体物ではなく,無体物だからである。

そこで,通説の場合は,物権の客体を物(有体物)であると論じるに際して,一般先取特権,権利質の場合は,これを例外として無視するか,他物権(所有権以外の物権,すなわち,用益物権と担保物権)の客体は,物(有体物)ではなく,物に対する他人の所有権であると解するほかはない(石田穣『民法総則』悠々社(1992年)221頁は,地上権などの用益物権は,物に対する他人の所有権のうち使用価値の側面を支配する権能を支配するのであり,また,抵当権などの担保物権は,原則として物に対する他人の所有権のうち交換価値の側面を支配する権能を支配するのであって,いずれの場合も,他物権の客体は,物ではなく,原則として物に対する他人の所有権〔無体物〕であるとする)。

しかし,筆者は,担保物権について,物権編に規定されてはいるが,その本質は,人的担保と並ぶ債権担保の一形態(物的担保)であり,法律により,もしくは,当事者の合意と公示によって債権の掴取力が強化されたものに過ぎないと考えている(担保物権を物権ではなく,債権の掴取力の拡張としてとらえる考え方に関しては,民法5(担保法)で詳しく論じる)。

*図1 物権と債権との交錯としての物的担保(担保物権)

このように考えるときは,他物権の客体(権利=無体物)を例外として無視したり,他物権の客体は物(有体物)ではなく他人の所有権と考えるというような無理な説明をしたりすることは不要であり,物権および用益物権の客体を,素直に,物(有体物)であると考えることが可能となる。

表1 物権の目的と目的物

権利者 権利 目的 目的物
支配すること 有体物に限る
文法 主語 動詞 不定詞 目的語
英文 Owner is able to do something.
物権の例 所有者は できる 使用・収益,処分・換価することが 土地・建物・動産を
地上権者は できる 使用・収益することが 土地を
抵当権者は できる (債務不履行の場合に限って)
処分・換価することが
(被担保債権の範囲で)
土地,地上権,永小作権を
債権の例
(対比のため)
一般債権者は できる (債務不履行の場合に限って)
処分・換価することが
(債権の範囲で)
すべての責任財産を
最後の例としての担保物権(抵当権)を物権として扱うべきかどうかが問題となる。なぜなら,抵当権の目的物は,有体物だけでなく,地上権,永小作権という無体物となりうることが明文で規定されているからである(民法369条)。
第369条(抵当権の内容)
@抵当権者は,債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について,他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
A地上権及び永小作権も,抵当権の目的【物】とすることができる。この場合においては,この章〔抵当権〕の規定を準用する。
もしも,物権の目的物は有体物に限られず,無体物をも目的物とすることができるとしてしまうと,「債権の上の所有権」も認められることになってしまう。そうすると,債権者とは,債権の所有権者であるということになり,債権も物権にすべて吸収されてしまい,わが国の民法が前提としている物権と債権との区別は,完全に崩壊してしまうことになる。民法の立法者は,このことを危惧して,「物とは有体物をいう」という条文を起草したのである。
もちろん,物権と債権との区別は相対的なものであり,厳密な区別を保持することに意味があるかどうかは,議論のあるところである。しかし,物権と債権とを区別することに意義を認めるのであれば,物権の対象は有体物に限定せざるを得ないことを認識しなければならない。

なお,物の意味については,後に詳しく説明する。

2 比較の対象としての債権の客体

債権とは,他人に対してあることをすること(作為)またはしないこと(不作為)を要求する権利であるから,債権の客体(目的)は,他人の行為(給付)であって物ではない(なお,我妻栄『新訂民法総則』岩波書店(1965年)200頁,四宮和夫『民法総則(第4版)』弘文堂(1986年)119頁等は,債権の客体を「人」,もしくは,「他人」であるとしているが,債権の客体は「人」そのものではなく,人の行為(給付),および,給付がなされない場合は,人の責任財産と考えるべきである)。

民法は,債権編の最初の規定(民法第3編第1章第1節)を「債権の目的」としており,「債権の目的が特定物の引渡であるときは」(民法400条)と規定して,債権の目的とは,物ではなく,債務者の行為であることを明確に意識している。さらに,物については,「権の目的物を種類のみで指定した場合において」(民法401条)というように,目的物という用語を用いて,「債権の目的」と「債権の目的物」とを区別している(もっとも,民法自体も,旧・402条2項においては,「目的物」とすべき箇所を「目的」とする誤りを犯していた)。

「債権の目的」と「債権の目的物」という用語法は一見難しそうであり,「債権の目的」は「債権の内容」とした方がわかりやすいとする説も存在する(平井宜雄『債権総論』[第2版]弘文堂(1994年)13頁)。しかし,「債権の目的(objet des obligations)」という用語法は,以下のように,債務を「しなければならない」という動詞(ought)と考え,給付をその動詞の目的語すなわち不定詞(to do)と考えると,なかなか味のある用語法ではないだろうか。

*表2 債権における目的と目的物の区別

債務者 義務 目的
(作為・不作為)
目的物
文法 主語 動詞 不定詞(動詞の目的語) 不定詞の目的語
英文 Obligor ought to do something
日本語の例 売主は 義務を負う 引き渡す(こと) 目的物を
買主は 義務を負う 支払う(こと) 代金を

なお,債権の「目的物」である物は,後に述べるように,物権の場合とは異なり,有体物には限定されない。例えば,売買の場合,売主は,財産権の移転をする義務を負う(民法555条)が,その場合の目的物は,特許権,著作権等の無体物を含むことが可能である。

ところで,民法が現代語化される前は,債権の目的物に関する立法者の用語法も混乱が見られた。今回の現代語化に伴って,債権の「目的」と「目的物」との区別は,いっそう明確となった。従前の用語法の混乱がどのような形で修正されたのかを分析することは,大きな意味を持っている。そこで,以下の表を見ながら,どこが修正されたのかを厳密に検討してみよう。

*表3 民法旧条文における債権の目的と債権の目的物との混同と新条文によるその訂正
旧条文 現代語化
第400条〔特定物引渡債権における保存義務〕
 債権ノ目的特定物ノ引渡ナルトキハ債務者ハ其引渡ヲ為スマテ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ其物ヲ保存スルコトヲ要ス
第400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)
債権の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,その引渡しをするまで,善良な管理者の注意をもって,その物を保存しなければならない。
第401条〔種類債権〕
 債権ノ目的物ヲ指示スルニ種類ノミヲ以テシタル場合ニ於テ法律行為ノ性質又ハ当事者ノ意思ニ依リテ其品質ヲ定ムルコト能ハサルトキハ債務者ハ中等ノ品質ヲ有スル物ヲ給付スルコトヲ要ス
 (2)前項ノ場合ニ於テ債務者カ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了シ又ハ債権者ノ同意ヲ得テ其給付スヘキ物ヲ指定シタルトキハ爾後其物ヲ以テ債権ノ目的物トス
第401条(種類債権)
@債権の目的物を種類のみで指定した場合において,法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは,債務者は,中等の品質を有する物を給付しなければならない。
A前項の場合において,債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し,又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは,以後その物を債権の目的物とする。
第402条〔金銭債権〕
 債権ノ目的物カ金銭ナルトキハ債務者ハ其選択ニ従ヒ各種ノ通貨ヲ以テ弁済ヲ為スコトヲ得但特種ノ通貨ノ給付ヲ以テ債権ノ目的ト為シタルトキハ此限ニ在ラス
 (2)債権ノ目的タル特種ノ通貨カ弁済期ニ於テ強制通用ノ効力ヲ失ヒタルトキハ債務者ハ他ノ通貨ヲ以テ弁済ヲ為スコトヲ要ス
 (3)前二項ノ規定ハ外国ノ通貨ノ給付ヲ以テ債権ノ目的ト為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第402条(金銭債権1)
@債権の目的物が金銭であるときは,債務者は,その選択に従い,各種の通貨で弁済をすることができる。ただし,特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは,この限りでない。
A債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは,債務者は,他の通貨で弁済をしなければならない。
B前2項の規定は,外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。
第419条〔金銭債務の特則〕
 (1) 金銭ヲ目的トスル債務ノ不履行ニ付テハ其損害賠償ノ額ハ法定利率ニ依リテ之ヲ定ム但約定利率カ法定利率ニ超ユルトキハ約定利率ニ依ル
 (2)前項ノ損害賠償ニ付テハ債権者ハ損害ノ証明ヲ為スコトヲ要セス又債務者ハ不可抗力ヲ以テ抗弁ト為スコトヲ得ス
第419条(金銭債務の特則)
@金銭の給付を目的とする債務の不履行については,その損害賠償の額は,法定利率によって定める。ただし,約定利率が法定利率を超えるときは,約定利率による。
A前項の損害賠償については,債権者は,損害の証明をすることを要しない。
B第1項の損害賠償については,債務者は,不可抗力をもって抗弁とすることができない。
第422条〔損害賠償者の代位〕
債権者カ損害賠償トシテ其債権ノ目的タル物又ハ権利ノ価額ノ全部ヲ受ケタルトキハ債務者ハ其物又ハ権利ニ付キ当然債権者ニ代位ス
第422条(損害賠償による代位)
債権者が,損害賠償として,その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは,債務者は,その物又は権利について当然に債権者に代位する。

もっとも,物権編に関しては,目的と目的物との混同は現代語化による新条文においても訂正されていない。訂正すると,質権も抵当権も物権とはいえないことが明白となってしまうからである。

「目的」と「目的物」とが混同している具体例としては,民法343条と344条とが際だっている。民法343条は,質権の目的物について,「目的」という用語を用いている。これに対して民法344条は,目的物という用語を用いている。質権は,財産権を目的とすることができるのであるから(権利質),質権の目的に目的物という用語を使うと,不正確となるが(民法362条は,したがって,「目的」という用語を使っている),質権の設定の目的としての「引渡」の対象としては,「目的物」という用語を用いざるを得ない。したがって,民法343条と民法344条とは,明らかに矛盾しているにもかかわらず,いかなる人もこれを訂正することが不可能なのである。

第343条(質権の目的)
質権は,譲り渡すことができないをその目的とすることができない。
第344条(質権の設定)
質権の設定は,債権者にその目的物を引き渡すことによって,その効力を生ずる。
第362条(権利質の目的等)
@質権は,財産権をその目的とすることができる。
A前項の質権については,この節に定めるもののほか,その性質に反しない限り,前三節(総則,動産質及び不動産質)の規定を準用する。

民法369条2項の場合にも,実は,深刻な問題が生じている。抵当権の「目的」は,その定義によれば,債務者が債務を任意に履行しない場合に,「抵当不動産を処分すること」,および,それによって「優先弁済を受けること」である(民法369条1項)。したがって,民法369条2項の「地上権及び永小作権」は,抵当権の「目的」ではなく,抵当権の対象物としての「目的物」でしかありえない。しかし,目的「物」という用語を使うと,今度は,「物とは有体物をいう」という民法85条の定義と矛盾してしまう。そこで,民法369条2項では,本来,「目的物」とすべきところであるにもかかわらず,「目的」という用語を用いているのである。

第369条(抵当権の内容)
@抵当権者は,債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について,他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
A地上権及び永小作権も,抵当権の目的とすることができる。この場合においては,この章〔抵当権〕の規定を準用する。

U 物の意義


民法では,物とは,権利の客体となりうる有体物をいう(民法85条)とされている。有体物とは,本来は,物理的に空間の一部を占め,有形的に存在する物のことである。しかし,そのように理解すると,固体,液体,気体は,物に含まれるが,電気,熱,光のようなエネルギーは,今日,重要な取引の客体とされているにもかかわらず,権利の客体から除外されることになってしまいそうである。

そこで,判例(刑事事件ではあるが,電気が窃盗罪の客体となるとした大判明36・5・21刑録9輯874頁参照)および一部の学説は,有体物の概念を次第に拡張し,エネルギー等の無体物も,排他的支配,すなわち,管理が可能な限り,物として解釈しようとしている(我妻栄『新訂民法総則』岩波書店(1965年)201頁以下,星野英一『民法概論I』良書普及会(1971年)159頁)。

刑法 第245条(電気)
 この章の罪については,電気は,財物とみなす。

反対に,有体物であっても,現代科学で支配が不可能な天体(太陽など)は,物とみないことにするという方向に向かっている。海面についても,公海面は,何人も排他的に支配できないのであるから物でないとされている。

判例は,さらに,領海面についても,地盤およびその上部の海水から構成される海は,国が行政行為等により一定の範囲を区画し,公用を廃止して私人の所有に帰属させた場合は私的所有権の対象たる土地になるが,そうでない場合は土地でなく時効取得の対象にもならないとしている(最三判昭61・12・16民集40巻7号1236頁(民法判例百選I[第4版](1996年)13事件))。しかし,領海面は,国家が排他的に支配する有形的存在であり物に他ならないのであって,技術革新によって私人も海面をも支配できるようになった現代においては,領海面は,時効取得の対象となると解すべきであろう(石田穣『民法総則』悠々社(1992年)224-225頁)。

なお,竣功未認可埋立地である埋立地が取得時効の対象となるか否かが争われた事案について,時効取得の対象となるとしている(最二判平17・12・16判時1921号53頁)。

最二判平17・12・16判時1921号53頁(土地所有権確認請求事件
 公用水面埋立法に基づく竣功認可がされていない埋立地であっても,長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され,公共用財産としての形態,機能を完全に喪失し,その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したが,そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,これを公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には,同法35条1項に定める原状回復義務の対象とならず,もはや公用水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し,同時に,黙示的に公用が廃止されたものとして,取得時効の対象となる。

これに関連して,竣工前の建物(建設中の建物)が独立した不動産として認められるかどうかについて判断した大審院判例(大判大10・10・1民集14巻1671頁)を見ておこう。

大判大10・10・1民集14巻1671頁 民法判例百選T第12事件
 住宅用建物にして,屋根瓦を葺き,荒壁を附け了りたるものは,未だ床及天井を備へざるも,仍ほ登記し得べき建物たるに妨なきものとす。
この事件は,建設中のAの建物(本権建物)を譲渡担保にとり,自らこの建物を完成させた後に,X名義で所有権の保存登記を行ったAの債権者Xと,同じくAの債権者であるY1との争いである。Y1は,完成後の本権建物に対して強制執行を行い,Xの保存登記がなされる前に,競売手続開始により職権でAのための所有権保存登記がなされた後に,この建物を競落し,Y2に本権建物を賃貸した。
Xは,自らが建物を完成させたのであるから,Xがこの建物を原始取得したのであり,Y1が強制執行によって得たA名義の保存登記は無効であるとして,Y1に対しては,本権建物に対するXの所有権の確認の訴えを提起し,Y2に対しては,家屋明渡の訴えをそれぞれ提起した。
原審は,Aは未だ不動産として完成していない物件をXに売り渡したのであり,これを完成させたXは,原始的に所有権を取得したのであるから,民法177条の適用はないとして,Xの請求を認容した。これを不服として,Yが上告した。
大審院は,判旨のように,AからXへの譲渡時に本権建物は独立の不動産となっていたことを認定し,そうすると,Xは,本権建物を原始取得したのではなく,Aから承継取得したのであるから,民法177条の適用がある。一方で,Y1の得たAの保存登記は有効であり,他方で,Xの保存登記は無効であるため,登記を得ていないXは,Yらに対抗できないとして,Yらを勝訴させた。

さて,「物」とは何かという本題に話題を戻すことにしよう。

広義の物には,本来は,有体物だけではなく,無体物も含まれるべきである。現に,債権の目的物には,無体物である債権が含まれている(民法466条以下の債権譲渡はその典型例である)。それでは,民法85条の「物とは有体物をいう」という意味をどのように考えたらよいのであろうか。

*表4 物の分類

有体物 不動産
動産
(無体物) エネルギー(電気,熱,光など)
無体物 情報
財産権(物権,債権,知的財産権)
サービス

民法85条が物を有体物に限定したのは,物権に関してのみであり,債権の目的物としての物には,無体物も含まれると解すれば,問題はほぼ解決される。例えば,債権については,債権の所有権という概念は成り立たないので,物ではないが,債権も無体物として売買の目的物となりうるのであり,債権の売買は,有償の債権譲渡として有効であるということになる。

もっとも,エネルギーについては,厳密には,無体物ではあるが,現代においては,有体物に類するものと考えても問題はないと思われる。なぜなら,現代においては,気体であり有体物であるガスと,無体物である電気を区別する実益は存在しないからである。したがって,有体物とは,ボワソナードの定義に従い,五感で触知できるものと考えるのが適切であり,電気,熱,光も,排他的な支配が可能なものは,有体物と考えるべきであろう。

ところで,そもそも,民法が,物を有体物に限定した理由は,以下の通りである。旧民法財産編6条は,物について,以下のように規定していた(読みやすくするため,漢字は新字体へ,仮名はひらがなへと変更し,句読点を追加している)。

旧民法財産編6条
 (1) 物に有体なる有り,無体なる有り
 (2) 有体物とは,人の感官に触るるものを謂ふ。即ち地所,建物,動物,器具の如し
 (3) 無体物とは知能のみを以て理解するものを謂ふ。即ち左の如し
  第1 物権及び人権(旧民法において財産権は,物権と人権(債権のこと)とに2分されていた(財産編1条2項))
  第2 著述者,技術者,及び発明者の権利
  第3 解散したる会社又は清算中なる共通に属する財産及び債務の包括

それにもかかわらず,民法の立法者がドイツ民法90条にならって,物を有体物に限定したのは,そうしないと,無体物(債権を含む)の上の所有権を認める結果になり(財産取得編24条参照),ひいては,債権者とは債権上の権能の所有者だということになって,物権と債権とを峻別する民法の根本原理に反することになってしまうからである(広中俊雄編著『民法修正案(前三編)の理由書』有斐閣(1987年)126頁,四宮和夫『民法総則(第4版)』弘文堂(1986年)120頁)。つまり,立法者としては,所有権の客体を,全面的支配権の客体となるのに適する有体物に限定する方が都合がよかったからにほかならない。

したがって,今日における民法の解釈としては,民法85条は,物権(所有権,用益物権)における権利の客体としての資格を限定する意味しかもたず,物に対する他の規定を必要に応じて無体物に関して類推適用をすることを妨げるものではないと解すべきである。また,物を有体物に限定するという民法85条の原則は,物権法の領域では原則としては妥当する(債権の所有権という概念は認めない)としても,債権法の領域にまで及ぶものではないと解すべきである(四宮和夫『民法総則(第4版)』弘文堂(1986年)120頁)。つまり,債権の目的物は,無体物(特許権,商標権,著作権,営業財産全体)であっても何らの支障を生じないということになる。

結果的には,民法85条は,民法総則に規定すべき条文ではなく,物権の客体は有体物に限定されるという意味で,物権編の総則に置くべき規定であるということになろう。


V 物の種類


1 概説

物は,観点の違いによって,動産と不動産(民法86条),主物と従物(民法87条),元物と果実(民法88条)というように分類されている。

2 動産と不動産

不動産とは,土地およびその定着物をいい,動産とは,不動産以外のすべてのものをいう。無記名債権は有体物ではないが,動産とみなされている(民法86条3項)。

第86条(不動産及び動産)
@土地及びその定着物は,不動産とする。
A不動産以外の物は,すべて動産とする。
B無記名債権は,動産とみなす。

不動産と動産との差異は,以下のように,公示方法,公信の原則の有無,その上に成立する権利,制限行為能力者の処分権限,無主物の取り扱い等に表れている。

*表5 不動産と動産との差異

不動産 動産
公示方法 登記(民法177条) 引渡(民法178条)
公信の原則の有無 登記には公信力がない 引渡に公信力がある(民法192条)
その上に成立する権利 抵当権を設定できる(民法369条) 抵当権は設定できない。このため,譲渡担保が発達した
経済的価値 被保佐人は単独では処分できない(民法13条1項3号) 重要なものでない限り,被保佐人も単独で処分できる(民法13条1項3号)
無主物の取り扱い 無主物は,国庫に帰属する(民法239条2項) 無主物は,誰でも,先占によって取得できる(民法239条1項)
相隣関係の有無 所有権は,相隣関係の制限を受ける 相隣関係は存在しない

1) 不動産

不動産とは,土地およびその定着物である(民法86条1項)。土地の定着物には,表5のように,建物のほか,土地の構成部分,立木法上の立木,その他の土地の定着物が含まれる。

*表6 不動産の種類

概念
不動産 土地 一筆の土地,一筆の土地の一部
土地の定着物 建物(土地とは別の不動産) 一棟の建物,区分所有建物
立木法上の立木 登記された立木の集団
その他の定着物 銅像,線路,導管,一般の立木,土地に蒔かれた種子,苗,庭石

土地の一部についても,独立した取引の客体,時効取得の客体としての地位が以下の判例によって認められている。

大連判大13・10・7民集3巻476頁 判例百選T第11事件
土地の一部は,分筆の手続を為す以前に於ても,所有者に於て之を譲渡することを得るものとす。
大連判大13・10・7民集3巻509頁
土地の一部に対する取得時効土地の一部は,分筆の手続を為さざるも,時効に因る所有権取得の目的たることを得るものとす。

ただし,以下の点に注意しなければならない。わが国の民法は,欧米の国々とは異なり,土地と建物を別の不動産としている。確かに,民法86条によれば,建物は「土地の定着物」とされており,建物は土地に付合するようにも見える[民法242条]。しかし,民法370条は,「抵当権は,抵当地の上に存する建物を除き,その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」と規定しており,土地と建物が別個独立の不動産であることを明らかにしている(民法370条の立法の経緯,および,それに関連して急遽起草された民法388条(法定地上権),民法389条(一括競売)に関する立法の経緯とその後の展開については,村田博史「法定地上権」[星野・講座3(1984)139-174頁]および松本恒雄「民法388条(法定地上権)」[広中=星野・百年U(1998)645-689頁]が詳しい)。

第370条(抵当権の効力の及ぶ範囲1)
抵当権は,抵当地の上に存する建物を除き,その目的【物】である不動産(以下「抵当 不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし,設定行為に別段の定めがある場合及び第424条〔詐害行為取消権〕の規定により債権者が 債務者の行為を取り消すことができる場合は,この限りでない。

もっとも,土地と建物とは独立の不動産であると考えることはできるが,実際に,建物が建っている土地だけが売買された場合には,その土地上に存在する建物の権利関係は,完全に独立という考え方では,一貫することができない。民法は,建物の存する土地(敷地)のみ,または,敷地上の建物のみが,抵当権の実行によって,単独で競売された場合について,建物の所有者を保護するために,法定地上権という制度を創設している(民法388条)。

第388条(法定地上権)
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定さ れ,その実行により所有者を異にするに至ったときは,その建物について,地上権が設定されたものとみなす。この場合において,地代は,当事者の請求によ り,裁判所が定める。

2) 動産

動産は,不動産以外の物である(民法86条)。土地に付着するものでも,定着物でないもの(例えば,後に述べる従物,すなわち,石灯籠,取り外しのできる庭石など)は,動産である。

3) 無記名債権

A) 無記名債権の意味

無記名債権とは,債権者を特定せず,証券の正当な所持人を権利者とする債権のことをいう。無記名債権は,債権であって,物ではないが,民法は,「動産」とみなしている(民法86条3項)。

無記名債権には,小切手,公社債券,商品券,観劇等の入場券,乗車券,学校債などがある。このような債権は,流通を容易にし,または,集団的権利行使を便利にするために,債権の法律的運命を証券という動産の運命に従わせる必要があり,この債権を動産と同じように取り扱おうとする目的で,動産とみなされているのである。

B) 無記名債権が動産とみなされる効果
a) 原則

無記名債権は,動産とみなされる結果,原則として,動産に関する規定(取得時効に関する民法162条,動産物権変動の公示に関する民法178条,善意取得に関する民法192条,遺失物の拾得に関する民法240条,動産質に関する民法352条〜355条等)が適用されることになる。

b) 例外

i) 対抗要件

権利の行使等が証券によってなされ,かつ,流通を予定している有価証券においては,証券の引渡は,単なる権利移転の対抗要件ではなく,権利移転の要件とするものである。したがって,無記名債権のうち,有価証券としての無記名債権には,民法178条の適用はないとされている。ただし,無記名債権のうち,例えば,乗車券,観劇券のように,流通を予定していない(有価証券ではない)無記名債権の場合には,民法178条が適用され,証券の引渡が対抗要件となる。

ii) 善意取得

有価証券である無記名債権については,動産の場合の規定(民法192条)よりも強力な,すなわち,取得者に無過失が要求されない善意取得の保護規定(商法519条,手形法16条2項,小切手法21条)が認められている。

4) 貨幣(金銭)

貨幣(金銭)は,物の区別の上では動産であるが,財貨交換の媒介として流通性・代替性が際立っている点で特殊な動産である。例えば,物をただで借りると使用貸借,有料で借りると賃貸借となるはずであるが,金銭を借りるときは,消費貸借という法律関係となる。

判例はかつては,一般の動産と同じように,金銭の善意取得(民法192条,193条)を問題とし,債権者が弁済として金銭の交付を受け,善意でこれを占有した場合には,民法192条の適用を肯定して,債務者だけでなく,実体上の金銭回復請求権者も,不当利得(民法703条)を理由として返還を求めることができないとし(大判大元・10・2民録18輯772頁),通貨が盗品であれば,民法193条が適用されるとしていた(大判明35・10・14刑録8輯9巻58頁)。

その後,学説が,金銭の所有権は占有とともに移転するとして即時取得の適用を否定し,当事者間の実質上の不公平は不当利得の理論で是正すべきであると主張したのに連動して,判例も,金銭の所有権は占有に従うことを認めるに至った(最二判昭29・11・5刑録8巻11号1675頁,最二判昭39・1・24判時365号26頁)。

もっとも,不当利得の成否については,判例は,AがBから騙取した金銭でCに対する債務を弁済し,Cが善意で受領した場合には,法律上の原因に基づいて取得したというべきであり,不当利得関係は生じないとするが(最二判昭42・3・31民集21巻2号475頁),Cが悪意・重過失の場合には,法律上の原因を欠き,不当利得の問題となるとしている(最一判昭49・9・26民集28巻6号1243頁)。

このように,金銭の所有権は占有とともに移転すると考えてしまうと,盗難,遺失,消費貸借の無効等のように,合意なしに金銭の占有が移転した場合には,原所有者の利益を害することになる。判例・通説のように,金銭に関して善意取得の規定の適用を否定したとしても,結局,不当利得のところで,善意・悪意を考慮して不当利得,すなわち,法律上の原因の有無を決定せざるを得ないのであれば,価値であるとともに物であるという金銭の二面性を素直に認め,原則としては,価値としての側面を重視して占有とともに所有権も移転すると考えるが,例外的に,特に,原所有者の利益を保護する必要がある場合には,物としての側面を重視して,利益を得た者が悪意・重過失の場合には,法律上の原因を欠いた取得であって,不当利得が問題となるというように,処理の仕方を使い分けるよりほかはないのであろう。

3 主物と従物

独立の物でありながら,客観的・経済的には他の物(主物)に従属してその効用を助ける物を従物という。

第87条(主物及び従物)
@物の所有者が,その物の常用に供するため,自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは,その附属させた物を従物とする。
A従物は,主物の処分に従う。

このような従物は,主物の法律的運命に従わせるのが望ましいので,民法は,物の所有者がその物の常用に供するために附属させた自己の所有に属する他の物を従物とし,従物は,主物の処分に従うと規定している(民法87条)。

*表7 従物の例

従物
不動産 動産
主物 不動産 土地 庭に設置された石灯籠,五重塔,取り外しのできる庭石
建物 母屋の常用に供される納屋,便所,湯殿
給油所(建物)に設置されたガソリンタンク
(最一判平2・4・19判時1354号80頁:
建物の従物として抵当権の効力が及ぶとされた)
畳,建具,造作
動産 宝物(動産)を保管するための建物(不動産) 腕時計のバンド,刀の鞘
ボートのオール

民法87条の規定は,当事者の意思の推測に根拠があり,当事者の意思が明らかな場合には,適用されないと考えるべきである。また,この条文は,主物に抵当権が設定されたときに,抵当権が従物にも及ぶことの根拠条文とされているが(大連判大8・3・15民録25輯473頁),この問題は,民法370条の内部で解決できる問題であり,この条文を使う必要はない。

この条文の学理上の有用性は,従物が主物の処分に従うという直接の意味ではなく,むしろ,その考え方を発展形である,「従たる権利が主たる権利の処分に従う」という点にあると思われる。主たる債務が処分された場合にその保証債務が随伴したり,付従性によって消滅するのは,この法理の一適用と見てよいであろう。債権の処分に際して,その従たる権利である担保物権が随伴したり,付従したりするのも同様である。

4 元物と果実

1) 概説

物の用法に従い,かつ,物の本体を害することなしに産出される経済的収益を果実といい,果実に対し,果実を生じる物を元物という。

果実は収益権者に帰属するものであるが,果実の意味・範囲や収益権者に移動があった場合の分配について争いを生じるおそれがあるので,民法は,それについて規定を設けている。当事者の意思を推定するものであるから,当事者の意思が明確な場合には適用されない。

第88条(天然果実及び法定果実)
@物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
A物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
第89条(果実の帰属)
@天然果実は,その元物から分離する時に,これを収取する権利を有する者に帰属する。
A法定果実は,これを収取する権利の存続期間に応じて,日割計算によりこれを取得する。

2) 天然果実

物の用法に従って元物から直接産出される経済的収益を天然果実という(民法88条1項)。産出物には,有機的産出物(例えば,植物の果実,動物の子,牛の乳,羊毛,畑の野菜,桑の葉,地中から出てきた竹)のほか,無機的産出物(例えば,鉱区から採掘される鉱物)を含む。

天然果実は,元物から分離した時に独立した物となるが,その果実の帰属主体については,民法は,ゲルマン流の「蒔いた者が刈り取る」という生産者主義を採用せず,元物から分離するときの収取権者に帰属させるという元物主義を採用している(民法89条1項)。

3) 法定果実

物の使用の対価として受け取るべき金銭その他の物を法定果実という(民法88条2項)。不動産を利用した場合の地代・家賃がこれに該当する。利子は,物(貨幣)の収益ではないが,法定果実として取り扱われる。

法定果実は,これを収取する権利の存続期間,日割りでもって取得する(民法89条2項)。これは,元物の所有者等,法定果実の収取権者が法定果実の生じる期間の途中で変更した場合に,日割りによって法定果実の収取権者を決定するという趣旨である。つまり,法定果実の収取権者が変更した日の前日までの法定果実は,旧収取権者に帰属し,変更した日以後の法定果実は新収取権者に帰属するということである。


W 練習問題


問題1 物権の客体と債権の客体(目的物)について説明しなさい。

【ヒント】物権の「目的」と物権の「目的物」に関する,以下のような立法上の用語の混乱を念頭に置いて説明すること。
第343条(質権の目的)
質権は,譲り渡すことができない物をその目的【物?】とすることができない。
第344条(質権の設定)
質権の設定は,債権者にその目的物を引き渡すことによって,その効力を生ずる。
第362条(権利質の目的等)
@質権は,財産権をその目的【物?】とすることができる。
A前項の質権については,この節に定めるもののほか,その性質に反しない限り,前三節(総則,動産質及び不動産質)の規定を準用する。

問題2 物を有体物に限ることの意味と問題点を述べなさい。

【ヒント】民法の立法理由に関する以下の記述を参考にして,問題点を述べなさい。

(理由)…同編〔旧民法財産編〕第6条は物の第一の区別として,有体物と無体物との区別を掲げ,且,之が定義を下したり。然れども,是亦,無益の条文たるのみならず,其定義中には往往穏当ならさる點なしとせず。殊に無体物を以て物権,人権〔債権〕其他の権利を謂ふものとし,常に物権,人権〔債権〕の目的物たるものとしたるは甚だ其当を得ず。其結果として,債権の所有権なるものを認むるに至りては(取二四,六八),実に物権の何物たるを知ること能はざらしむ。此の如くんば,所謂人権〔債権〕なるものは,常に物権の目的物に過きずして,結局,財産編第1条〔財産権に二種あり。物権及び人権是なり〕及び第2条〔物権は直ちに物の上に行はれ且総ての人に対抗することを得べきもの〕の原則と撞著するに至らん。本案は左に掲ぐる如く,法律上,物とは単に有体物のみを指すことに定めたるに依り,右の条文は之を刪除するを至当と認めたり。
(理由)既成法典〔旧民法〕は物に無体物ありとし,物権,人権〔債権〕も亦常に権利の目的物たるもとしたるが為め,頗る奇異なる結果を生ずるに至れることは已に之を述べたり。故に本案に於ては,法律上所謂物とは,専ら有体物のみを謂ふものとし,以て右の誤謬を避くると同時に,有体物に関する規定を掲ぐる各条に有体なる形容詞を冠するの煩を省かんと欲せり。此事は特に一条を設けて之を明示するの必要なきが如しと雖も,物の如き普通の用語にして既成法典に於けると大に異なりたる意義を以て之を用ゆるが故に,此に之を明言することと為せり。
或特別の場合に於て,無体物たる権利を物と同一視するの必要あるときは,其関係条文の規定に依りて自ら明かならしむることを得べきを以て,茲に通則として之が規定を掲くることを要せざるなり。
旧民法財産編 第6条
@物に有体なる有り無体なる有り
A有体物とは人の感官に触るるものを謂ふ即ち地所,建物,動物,器具の如し
B無体物とは智能のみを以て理会するものを謂ふ即ち左の如し
  第1 物権及ひ人権
  第2 著述者,技術者及ひ発明者の権利
  第3 解散したる会社又は清算中なる共通に属する財産及ひ債務の包括

問題3 金銭の特色について述べなさい。

【ヒント】以下のような騙取金の返還問題について言及すること。

問題4 果実が問題となる条文を列挙しなさい。

第88条(天然果実及び法定果実)
@物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
A物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
第89条(果実の帰属)
@天然果実は,その元物から分離する時に,これを収取する権利を有する者に帰属する。
A法定果実は,これを収取する権利の存続期間に応じて,日割計算によりこれを取得する。
第189条(善意の占有者による果実の取得等)
@善意の占有者は,占有物から生ずる果実を取得する。
A善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは,その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。
第190条(悪意の占有者による果実の返還等)
@悪意の占有者は,果実を返還し,かつ,既に消費し,過失によって損傷し,又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
A前項の規定は,暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。
第196条(占有者による費用の償還請求)
@占有者が占有物を返還する場合には,その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし,占有者が果実を取得したときは,通常の必要費は,占有者の負担に帰する。
A占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については,その価格の増加が現存する場合に限り,回復者の選択に従い,その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし,悪意の占有者に対しては,裁判所は,回復者の請求により,その償還について相当の期限を許与することができる。
第297条(留置権者による果実の収取)
@留置権者は,留置物から生ずる果実を収取し,他の債権者に先立って,これを自己の債権の弁済に充当することができる。
A前項の果実は,まず債権の利息に充当し,なお残余があるときは元本に充当しなければならない。
第313条(不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲1)
@土地の賃貸人の先取特権は,その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産,その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
A建物の賃貸人の先取特権は,賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。
第322条(種苗又は肥料の供給の先取特権) 〔旧・第323条を繰り上げ〕
種苗又は肥料の供給の先取特権は,種苗又は肥料の代価及びその利息に関し,その種苗又は肥料を用いた後1年以内にこれを用いた土地から生じた果実(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉の使用によって生じた物を含む。)について存在する。
第323条(農業労務の先取特権) 〔旧・第324条の一部〕
農業の労務の先取特権は,その労務に従事する者の最後の1年間の賃金に関し,その労務によって生じた果実について存在する。
第330条(動産の先取特権の順位)
@同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には,その優先権の順位は,次に掲げる順序に従う。この場合において,第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは,後の保存者が前の保存者に優先する。
 一 不動産の賃貸,旅館の宿泊及び運輸の先取特権
 二 動産の保存の先取特権
 三 動産の売買,種苗又は肥料の供給,農業の労務及び工業の労務の先取特権
A前項の場合において,第1順位の先取特権者は,その債権取得の時において第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたときは,これらの者に対して優先権を行使することができない。第1順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても,同様とする。
B果実に関しては,第1の順位は農業の労務に従事する者に,第2の順位は種苗又は肥料の供給者に,第3の順位は土地の賃貸人に属する。
第371条〔抵当権の効力の及ぶ範囲2〕
抵当権は,その担保する債権について不履行があったときは,その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

抵当権の目的不動産とその付加物の場合とは異なり,抵当権の効力は,債務者が債務不履行に陥るまでは,果実には及ばない[民法371条]。天然果実 は不動産とは別個の動産(抵当不動産の付加一体物ではない)からであり[民法88条,89条],法定果実(利息債権,賃料債権等)は債権であって,抵当権 の対象となるとしても,それは,民法372条によって準用される民法304条が適用される場合のみだからである。

2003年民法改正前の旧規定によれば,抵当権の効力は,原則として,果実には及ばないとし,抵当権が実行されて,目的不動産の差押えがあった後に はじめて果実に及ぶとしていた[民法旧371条1項本文]。「差押え以後の果実は不動産化する」というフランス方の考え方を継受したものである。

2003年民法改正前の第371条〔果実に対する効力〕)
@前条ノ規定ハ果実ニハ之ヲ適用セス但抵当不動 産ノ差押アリタル後又ハ第三取得者カ第381条〔滌除権者への実行の通知〕ノ通知ヲ受ケタル後ハ此限ニ在ラス
A第三取得者カ第381条ノ通知ヲ受 ケタルトキハ其後1年内ニ抵当不動産ノ差押アリタル場合ニ限リ前項但書ノ規定ヲ適用ス

2003年民法改正により,債務不履行以後は,抵当権の効力は,天然果実だけでなく,法定果実にも適用され,むしろ,賃料などの法定果実を主眼とす るものとなったと理解されがちである。しかし,2003年の改正理由は,民事執行法の改正により,担保不動産収益執行手続き(内容的には,従来からの強制 管理が準用される)が新設され[民事執行法180条2号,188条],これにともなって,この手続きが,抵当権の効力を担保不動産そのもの[民事執行法 180条1号]だけでなく,賃料などの収益にまで及ぼすことができ,この収益を対象とする手続きを開始するには被担保債権の債務不履行が前提であることを 示すためであった。したがって,担保不動産収益手続き以外の場合にも,抵当権の効力が,差押え以前の段階において果実に及ぶと考えるべきではない(物上代 位も差押えが行使の要件となっている[民法304条1項])。

債務不履行が生じた後も,抵当権の設定者(債務者又は物上保証人)は収益権を有していることは疑いがない。抵当権の設定者は,差押えがあるまでは従 来どおりに果実を収取することができるのであり,民法371条は,債務不履行が生じた後,差押えがあるまでの果実が抵当権実行による買受人に帰属すること を意味するものではない。したがって,抵当権が実行され,目的不動産が差し押さえられたり,担保不動産収益執行手続きが開始された場合に,設定者がいまだ 収取していない果実があれば,そのうちの債務不履行発生後のものについて抵当権が及ぶのであって,以下のように,抵当権の実行によっても設定者の使用・収 益は拘束されないというのが民法371条の意味であるということになる。

抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲については,従来は,不動産の付加物に従物が含まれるかどうかが議論の中心になっていた。民法370条は,不動産の 付加物の中に従物が含まれるとするフランス法を参照して起草されたものであるのに対して,民法87条に規定されている従物は,ドイツ法由来の概念であり, 両者の関係が明確でなくなってしまったことから複雑な問題が生じたのである(民法370条立法の沿革については,角紀代恵「民法370条・371条」[広 中=星野・百年U(1998)593頁以下参照])。また,抵当権の及ぶ目的物の範囲に関しては,目的不動産,付加物[民法370条],果実[民法371 条]だけでなく,さらに視野を広げて,その他の一般財産[民法394条]を見通した上で,物上代位[民法372条]の及ぶ範囲等を総合的に考察しなければ ならない。

第575条(果実の帰属及び代金の利息の支払)
@まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは,その果実は,売主に帰属する。
A買主は,引渡しの日から,代金の利息を支払う義務を負う。ただし,代金の支払について期限があるときは,その期限が到来するまでは,利息を支払うことを要しない。
第579条(買戻しの特約)
不動産の売主は,売買契約と同時にした買戻しの特約により,買主が支払った代金及び契約の費用を返還して,売買の解除をすることができる。この場合において,当事者が別段の意思を表示しなかったときは,不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
第646条(受任者による受取物の引渡し等)
@受任者は,委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても,同様とする。
A受任者は,委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
第992条(受遺者による果実の取得)
受遺者は,遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。ただし,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは,その意思に従う。
第993条(遺贈義務者による費用の償還請求)
@第299条の〔留置権者による費用の償還請求〕規定は,遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合について準用する。
A果実を収取するために支出した通常の必要費は,果実の価格を超えない限度で,その償還を請求することができる。
第1036条(受贈者による果実の返還)
受贈者は,その返還すべき財産のほか,減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

問題5 従物が問題となる条文を列挙しなさい。

第87条(主物及び従物)
@物の所有者が,その物の常用に供するため,自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは,その附属させた物を従物とする。
A従物は,主物の処分に従う。
第242条(不動産の付合)
不動産の所有者は,その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし,権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
第244条〔動産の付合2〕
付合した動産について主従の区別をすることができないときは,各動産の所有者は,その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する。
第281条(地役権の付従性〔随伴性〕)
@地役権は,要役地(地役権者の土地であって,他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして,その所有権とともに移転し,又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし,設定行為に別段の定めがあるときは,この限りでない。
A地役権は,要役地から分離して譲り渡し,又は他の権利の目的とすることができない。
第447条(保証債務の範囲)
@保証債務は,主たる債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
A保証人は,その保証債務についてのみ,違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
第448条(保証人の負担が主たる債務より重い場合)←保証債務の付従性
保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは,これを主たる債務の限度に減縮する。
第465条の2(貸金等根保証契約の保証人の責任等)
@一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は,主たる債務の元本,主たる債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について,その全部に係る極度額を限度として,その履行をする責任を負う。
A貸金等根保証契約は,前項に規定する極度額を定めなければ,その効力を生じない。
B第446条第2項及び第3項〔保証契約の書面性〕の規定は,貸金等根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。

問題6 抵当権が設定された不動産の従物に及ぶかどうかを検討しなさい。

第370条(抵当権の効力の及ぶ範囲1)
抵当権は,抵当地の上に存する建物を除き,その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし,設定行為に別段の定めがある場合及び第424条〔詐害行為取消権〕の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は,この限りでない。

抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲については,従来は,不動産の付加物に従物が含まれるかどうかが議論の中心になっていた。民法370条は,不動産の付加物の中に従物が含まれるとするフランス法を参照して起草されたものであるのに対して,民法87条に規定されている従物は,ドイツ法由来の概念であり,両者の関係が明確でなくなってしまったことから複雑な問題が生じたのである(民法370条立法の沿革については,角紀代恵「民法370条・371条」[広中=星野・百年U(1998)593頁以下参照])。また,抵当権の及ぶ目的物の範囲に関しては,目的不動産,付加物[民法370条],果実[民法371条]だけでなく,さらに視野を広げて,その他の一般財産[民法394条]を見通した上で,物上代位[民法372条]の及ぶ範囲等を総合的に考察しなければならない。

そのような広い観点から,抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲を全体として表にまとめると以下のようになる。

*表8 抵当権の優先弁済権が及ぶ目的物の範囲
目的物の範囲 不履行まで 不履行後 根拠条文
不動産 目的不動産 土地又は建物 民法369条
不動産の付加一体物 不動産の構成部分 樹木,塀等 民法370条
不動産に従として付合した物(付合物) 土地の石垣,建物の造作 民法242条,370条
従物 土地の所有者が所有する石灯籠,取り外しのできる庭石,
建物に備え付けられた畳,障子,家具
民法87条,370条
果実 天然果実 樹木の果実,乳牛の牛乳など × 民法88条1項,371条
法定果実 土地の地代,建物の家賃,元本の利子など × 民法88条1項,371条
一般財産 目的物の滅失・損傷による損害賠償・保険金債権 民法372条による民法304条
目的物売却の代金債権 × × 民法394条の趣旨
その他の一般財産 × × 民法394条

抵当権の及ぶ範囲としての不動産に付加して一体となっている物の位置づけについては,以下の表によるのがよいであろう。

*表9 物の分類と抵当権の及ぶ範囲としての「不動産に付加して一体となっている物」
不動産 土地
土地の定着物 建物
立木ニ関スル法律に規定する立木
土地の構成部分となって土地の所有権に吸収される物 不動産に従として付合した物[民法242条] 不動産に付加して一体となっている物[民法370条](通説)
明認方法を施すことにより,独立の物としての取引が可能な物。
権原ある者が附属させると,その者の所有に属する[民法370条の例外]。
従物 土地の所有者が所有する,石灯籠,取り外しのできる庭石など[民法87条]

ただし,従物が民法370条の「不動産に付加して一体となっている物」といえるかどうかについては,争いがあった。大審院の初期の判例は,動産である従物に対する抵当権の効力を否定していた〈大判明治39・5・23民録12輯880頁〉。しかし,その後,大審院は連合部判決〈大連判大8・3・15民録25輯473頁〉で,抵当権の効力が抵当権設定時の従物に及ぶことを認めたが,その理由は,民法87条2項であるとしていた。その後も,大審院は,抵当権設定後の従物に関する事案について,従物に対する抵当権の効力を認めるものの([民法87条2項]を根拠とする),従物は,民法370条の「不動産に付加して一体となっている物」には含まれない〈大判昭5・12・18民集9巻1147号〉と解していた。

大判昭5・12・18民集9巻1147号
 畳建具の類〔従物〕は,其の建物に備付けられたるときと雖,一般に独立の動産たるの性質を失はざるを通例とする。
 ただし,雨戸或は建物入口の戸扉其の他建物の内外を遮断する建具類の如きは一旦建物に備付けらるるに於ては建物の一部を構成するに至るものにして,之を建物より取外し容易なると否とに不拘,独立の動産たる性質を有せざるものと云はざるべからず。

その後,昭和44年最高裁判決〈最二判昭44・3・28民集23巻3号699頁(民法判例百選T〔第6版〕第84事件)〉は,抵当権設定前に持ち込まれた石灯篭および庭石(従物),並びに,庭木等(構成部分)について,民法370条の「抵当不動産に付加して一体となっている物」に従物(石灯篭および庭石)が含まれると判断するに至っている(学説の変遷については,湯浅道男「抵当権の効力の及ぶ範囲」[星野・講座3(1984)61頁以下]参照)。

宅地に対する抵当権の効力は,特段の事情のないかぎり,抵当権設定当時右宅地の従物であった石灯篭および庭石にも及び,右抵当権の設定登記による対抗力は,民法370条により右従物についても生ずる。
*図2 最二判昭44・3・28民集23巻3号699頁
民法判例百選T〔第6版〕第84事件

さらに,最高裁〈最一判平2・4・19判時1354号80頁,判タ734号108頁〉は,借地上のガソリンスタンドの店舗建物を対象として設定された抵当権が,設定当時から存在している地下タンク,ノンスペース型計量機,洗車機等に及ぶかどうかが争われた事案(抵当権が実行され,建物の買受人が抵当権の設定者に対して,建物明渡等を求めた事件)について,それらの物件が建物の従物であるとして(ただし,地下タンクは,建物価格の4倍以上であり,価格的には,主物よりも,従物の方が価値が高いという逆転現象が生じている),抵当権の効力が及ぶとしている。

最一判平2・4・19判時1354号80頁,判タ734号108頁
 ガソリンスタンドの店舗用建物に対する抵当権設定当時,建物内の設備と一部管によって連通する地下タンク,ノンスペース型計量機,洗車機などの諸設備を右建物の敷地上又は地下に近接して設置し,これらを右建物に付属させて経済的に一体として右営業に使用していたなど判示の事情の下においては,右建物の従物として抵当権の効力が及ぶ。

付加物が分離された場合の抵当権の効力については,「分離物(分離された付加物)に対する抵当権の追及効」の箇所で説明する。

なお,次に述べる抵当権者の有する優先弁済権の行使に際して,抵当権の行使につき,一定の制限を課していることとの関連で,民法370条ただし書きについて,触れておく。第1の設定行為に別段の定めがある場合に,抵当権の範囲が不動産の付加物に及ばないとしているのは,この規定が,公の秩序に関するものでないことを示している。だたし,別段の定めも,登記がなければ第三者に対抗できないので注意を要する[不動産登記法88条]。第2に,債務者が,一般債権者を害する目的で(抵当権者と債務者とが通謀するのがその例),抵当不動産に工作を加え,一般財産に属する物を抵当不動産に付加して一体としてしまった場合には,詐害行為取消権の場合に責任財産からの逸失を否定するのと同様,抵当権の付加物となった物について,責任財産からの逸失を否定することにしている。すなわち,債務者が工作によって一般財産に属する物を抵当不動産に付加した場合に,その物を付加して一体となった物ではないとみなして,抵当権の効力を及ぼさないこととしているのである。

問題7 物,役務(サービス),権利の区別と相互関係について,以下の消費者被害に関する論文を読んで,総合的な考察をしなさい。

加賀山茂「特商法の適用対象としての商品の概念について−「債権の目的」における権利,役務,物の相互関係の視点から−」(経営実務法研究第13号(2011年)39−50頁)

経済学上の
サービス業
(第3次産業)
サービス業の法律上の分類 有償契約 契約の目的 目的物
(広義の商品)
具体例
財産権の移転
を伴うもの
財産権の移転のみ 売買 財産権を移転し対価を受けること 有体物 不動産売買,動産売買
無体物 債権譲渡
財産権の移転と返還 消費貸借 代替物(金銭等)を提供すること 金銭 金銭消費貸借
財産権の移転
を伴わないもの
特定物の提供と返還 賃貸借 特定物を提供すること 有体物 借地借家,動産賃貸
役務(サービス)の提供 雇用 指揮監督下で労務を提供すること 労務 労働契約
請負 仕事を完成すること 仕事 建築請負,運送
委任 法律行為,事務処理をすること 事務 診療契約
寄託 物を保管し,返還すること 特定物 手荷物預り
消費寄託 金銭 預金

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